内容説明
作家・姫野伸昌は妻・小雪の死を境に酒浸りだったが、突如周りで不可思議な現象が起き始め、やがて自身の肉体がプラスチック化し脱落し始める。姫野は天罰と直感するが、しかしなぜ? 微かに残る妻の死の記憶──。読者に挑戦し、挑発する先の読めない展開、圧巻のノンストップ問題作1400枚超!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
219
白石 一文は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。650頁弱、一気読みしました。私小説+プラスチック妄想SFミステリといった感じです。プラスチックな妙薬が出来ればHAPPYかも知れません。東京・福岡のジモティな街が多数登場するため、地縁がないと読むのが辛いのではないでしょうか? 2019/03/05
どんぐり
83
白石さんの描く「人間の記憶はこれだけは間違いないと信じているものであっても何らかの形で自分の都合のいいように改変されていく」という記憶を巡る物語は、作家の頭の中にある現実と創作世界を往還してみせてくれる。ただ、唇や鼻、頬や耳の一部がプラスチック化し、ついにはペニスに及び、トカゲの尻尾のように剥落して再生する奇怪な現象は、現実には起こり得ないことなので、ただただ失笑を禁じ得ない。これは、〈記憶と再生〉の符合なのだろう。相変わらず観念が肥大化して暴走する白石さんの26冊目。2019/07/20
Yunemo
68
白石ワールド全開に近い作品と位置付けて。読み終えて、また始まりの始まりに戻ってしまい。いつものようにモヤモヤ感だけが残されて。「幻影の星」に近い作品に仕上げられてます。結局は近親相姦への倫理観をプラスチックになぞらえて、そこから来る記憶の封じ込め。なぜにこんなにまでページ数を増やさなくちゃいけないの。それにしても一つ一つがくどいくらいの風景描写、ホントに必要だったのですか。とはいえ、さすがに白石作品、作中で記される小説の定義、ふんふんと頷いて。記憶って結局は事実とか真実の積み重ねじゃなくて自身の思い込み。2019/05/19
しーちゃん
67
プロローグがエピローグに繋がる無限ループ?で、主人公の混乱がそのまま読者の混乱として話は進む。身体、風景、物体のプラスチック化を自在に操るファンタジー?と思ったり、いやこれこそ文学だと納得したり。妻の死は思い込みだったのか、親友と信じた男は架空の人物だったのか、真実が知りたくて一気に読んだ。忘れたい出来事を本当に忘れるために記憶の改ざんが脳内で行われるという出来事は実際に聞いたことがある。同じ出来事も自分と他人ではその目線、感じ方は違う。妄想や空想好きな私には、この病んだ世界は嫌いではない。2019/05/28
さと
60
今回は、主人公の“記憶”に翻弄されっぱなしだった。そもそも私たちが“記憶”“記憶している”と認識しているものがどこまで真正なものなのだろうかと懐疑的になる。実は私も都合のいいように記憶を改竄し過去を偽造し続けながら生きているのかもしれないと思うと、過去や未来を憂いて生きる事にさほどの価値もないように思える。記憶そのものではなくそれを体験した際に感じた感情と自分とがバランスをとっていられるように記憶というシステムがあるのかもしれないなと…感想とはかけ離れたつぶやきになってしまった。。。2022/06/17
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