内容説明
三浦光村は元服して初めて、三浦一族と北条氏との40年にわたる暗い宿縁を知る。同じ関東の豪族でありながら三浦氏は、鎌倉将軍家補佐の任を北条氏に奪われ続けたうえに、北条氏は、鎌倉幕府存続のために、地元の豪族・三浦氏を巧妙に利用してきたのだ。だが、三浦氏の北条に対する反撥は、何度かの争いを経て増幅されてゆく……。という表題作のほか、曽我兄弟仇討ちを扱った「裾野」など、精緻な歴史小説の短編6作を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃいろ子
41
鎌倉殿周辺の短編は三浦氏と曽我兄弟もの。 三浦氏のは読みかけの他の永井さんの本でも読んでいてドラマの楽しみがより増した。 まさに執念のなのだ。 他にも小早川秀秋の編がとても良かった。 関ケ原の裏切り者という印象しかなく、それはそれでそうなるしかなかった基盤があったのだよとは知っていたがなるほどなぁと。 あの掌返しは辛いだろう。 他にはその関ケ原後に石田三成を捕らえた男とその男に裏切られた男の話など、どれもとても面白かった。 短編は、他の長編との合間にとても幸せな安らぎ時間をくれる(笑)2022/07/10
MAEDA Toshiyuki まちかど読書会
20
わーっ永井路子さんの新作だと思って、kindle買いしたら、初出が1965年!!この方の他の作品で歴史小説の面白さを知りましたが、表題作がまさかの鎌倉BL物とは思わなかった(^^)2020/02/04
巨峰
13
歴史小説の短編は、長編ではもたない脇役を主人公にするため、なかなか興味深い。この短編集も三浦一族、長谷川等伯、小早川秀秋、宮部善祥坊の息子、山口重政親子など多士済々で、中々楽しめる。もちろん、各短編の出来はまあまあというところではあるけれど。。2011/06/13
みなみ
9
Kindle Unlimitedで読了。短編集。鎌倉の三浦一門、曾我兄弟の仇討ちの2篇を除くとあとは戦国時代が舞台の物語。表題作だけでなく全体を通じて「執念」が読み取れる。それを感じるのは、主人公が望むものを手に入れられない状況が長く、長年にわたりくすぶらせた欲望を持ち続ける主人公が描かれるからだ。表題作は三浦光村を主人公にしており、三浦義村からの北条との因縁が描かれる。ラストも含めて、まさに執念の家譜。濃い密度の力作。2022/06/30
ryohey_novels
7
どれも良いが、表題の「執念の家譜」が非常に良い。鎌倉草創期を生き抜いた三浦氏がついに失墜する宝治合戦。本戦は高橋克彦「時宗」で時頼側から読み当時は何て馬鹿な子孫だと思っていたが本作で三浦泰村の見方が少し変わった。負け戦とは知りつつも執念の終着点として戦に臨むしかなかった男の意地。これを女性の永井氏が書いているのもまた興味深い。義村が「引き返すほうがよほど辛い」と言うが、裏切りを重ねて引き返してきた辛い人生、最後は進むしかなかったと思うと同情を禁じ得ない。壮絶な死に様だったというからその覚悟のほどがわかる。2022/12/22
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