内容説明
「遺産相続争い」小説、決定版!
この財産、めったな奴にやれるものか--。
河原専造は余命半年と宣告された。唯一の相続人は年若き後妻。
しかし彼女が遺言状の有無を弁護士に問い合わせていたことを知り、専造は激怒。過去付き合っていた四人の女が生んだ子供たちを探し出し、遺産の相続人に加えることにした……。
莫大な遺産をめぐって人間のあくなき欲望が絡み合う著者の代表作。江戸川乱歩が激賞した名作、ついに復刊!(解説:縄田一男)
これは私が書いた最初の推理小説である。
それまではわずかの現代小説を除き、ほとんど時代小説であったが、たまたま、故江戸川乱歩氏から、推理小説を書いてみないかとの誘いがあり、かなり躊躇してから、執筆にとりかかった。(中略)
第一回が載ると、すぐに江戸川氏から、非常に面白い、従来の本格スリラーとは全く別のものができそうなので大いに期待していると云うお手紙を頂き、少々良い気分になって書きつづけたのを覚えている。
(本文「あとがき」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aki
5
昭和30年代と古い話ではあるけど、悪い奴らばかり出てきて面白かった。2時間ドラマになりそうと思ったら、昔々に映画化されていたのね。見てみたい〜2019/06/29
katsu
2
遺産を狙う人物たちが絡み合う様子が面白い。悪人ばかりなのでオチが難しいところだが、なかなかの結末。2023/08/28
コマンドー者
1
カッパノベルス第一号となる作品。南條範夫氏の初の推理小説で、江戸川乱歩が絶賛とのことだが、推理小説ではなくサスペンス小説だろう。山崎豊子の女系家族とよく似た遺産相続を巡るドロドロ劇で、今読んでもそこそこ面白い。2022/11/14
竜王五代の人
1
南條先生の現代ものは初めて読んだが、テレビドラマのように通俗的、映画化されたのもよく分かる。登場人物は金銭欲と色情欲しかないゲスがほとんどで、そうでなかったらグズ。そいつらが社会的にも、実際的も次々と死んでいく蟲毒状態(最後に一人だけ生き残るのも)。2021/07/30
RS
1
初読の作家さん。解説によるともともと異なるジャンルの作家であったが江戸川乱歩の勧めで書いた初ミステリらしい。登場人物が悪党揃い。4組の話が同時に動き名前が覚え切れず振り返るところもあったが引き込まれて一気に読んだ。最後は、はっきり書いてないけどそこまでするかと。昭和30年代おもしろそう、他も読んでみようかな。2019/05/20