内容説明
絶対めんどくさい女になってやると思ったけれど、それもめんどくさい」
いじめも自殺も恋愛もセックスもすべて日常――17歳の濃密な二日間
「感情はサブカル。現象はエンタメ。
つまり、愛はサブカルで、セックスはエンタメ。私は生きているけれど、女子高生であることのほうが意味があって、自殺したどっかの同い年がニュースに流れて、ちょっと羨ましい……。」(冒頭部分)
女子高生の唐坂和葉は17歳。
隣のクラスの沢くんへの告白の返事は「まあいいよ」。
いつもヘッドフォンをつけていて「ハブられている」クラスメイトの初岡と、沢の会話を聞きながら、いろいろ考える。
いじめのこと、恋愛のこと、家族のこと。
十代のめまぐるしく変化する日常と感情と思考を、圧倒的な文体で語る新感覚の小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
papako
70
ずっと気になっていて。楽しめた。この作家さんは詩人?なので独特の文章でした。読みながら、なんか『歌』を読んでいるみたいだなぁと思っていました。すごくめんどくさい女子高生の思考を読まされるんだけど、私は10代の時には、こんなに色々考えてなかったな。めんどくさいけど、おばさんから見たら可愛かった。そしてあとがきを読んで、やっとタイトルに納得しました。内容は違うけどナカムラエミとか見田村千春とかamazarashiの小説版みたい。ちょっと気に入りました。2019/10/08
tenori
62
10代を卒業した大人達に捧ぐ。冒頭2行『感情はサブカル。現象はエンタメ』『つまり、愛はサブカルで、セックスはエンタメ』反感と意義を唱えずに読み進めるべし。既に過去となった10代に自分がどう生きていたのか。単なる歴史(それが白だろうが黒だろうが)として黙殺しているならば、それは今を生きていることへの冒涜ではないか。自分本意で屁理屈を並べ支離滅裂で刃物のごとく周囲を傷つけようとする主人公の行動は、不本意ながらも群れに馴染むことで影を薄くすることを選択した人達の感情の発露なのかもしれない。鮮烈。2022/05/02
佐島楓
62
自問自答の繰り返し。私は十代の頃、こんなもつれた面倒くさい思考回路の持ち主だったっけ。もう少し単純な子どもじゃなかったか? 子どもの不自由さ、女子高生というレッテルは感じていたかな。というようなことを延々と考え続けてしまう。過去の延長線上にしか今はない。2019/05/09
もちまる
41
文庫本発売で再読。10代特有(?)の自意識過剰な自分世界から起こる悩み。誰も同じように悩み苦しんでいる(いた)ことが周りの人たちの行動から少しずつ感じる主人公。最果タヒさんの独特な世界観は飽きないです!2019/07/28
Kazuko Ohta
33
あらら、ならば私も嘘つき。薄さだけに釣られて買い、最初の数頁で、しまった、これは川上未映子の『わたくし率 イン 歯ー、または世界』のように、薄いのにやたら時間がかかるやつかと後悔。でも違った。わかるよその気持ちと言いたくなるシーンがどれだけあったことか。ラップになりそうな文体とか、確かにオバハンにはついて行きづらいけど(笑)、教師の言動を「あなたパンでも作っているんですか」と言ってみたり、一度は告った相手に「それ言われて喜ぶと思ったの?」と毒づいてみたり。わかるよほんとに。傷ついても生きる。今日が好き。2022/05/03




