モスクワの伯爵

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モスクワの伯爵

  • ISBN:9784152098603

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内容説明

ロシア革命後、堕落した特権階級である罪で、一生ホテルから出られなくなった伯爵。絶望に沈みゆくなか、曲者ぞろいの従業員と客との出会いが彼に新たな生き方を選ばせる。艷やかな人物造形、きらびやかな生活描写、上質なユーモアに全世界が惚れた話題の書!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

138
革命後、ホテルに軟禁される伯爵の運命や、いかに。その先の歴史を思うと、穏やかな気持ちでは読んでいられなくなる。祈るような、見守るような気持ちになっていたが、いつ頃からか子気味よさを感じるべきところで、鼻白むことが増えていく。途中に挟まれている悲劇的小話に、そらそうであろうとかえって安堵したりした。こういう私は、スクルージ的なのかと思いつつ、本を閉じる。2019/12/15

buchipanda3

125
ロシア革命によってモスクワの高級ホテルに軟禁されたある貴族の人生を綴った小説。さぞや気苦労がと思うが、そんな境遇はどこ吹く風とばかりにロストフ伯爵はしなやかに生活を謳歌する。人情の機微を忘れずに、博識で軽妙な会話をしながら周りとの絆を深めていく彼のキャラがとても魅力的だった。間に挿まれる辛い過去の話や煌びやかなホテルの中での彼への不条理な処遇には哀切感が漂う。ソフィアとのエピソードが特に良かった。最初のあたふた感には思わずぷぷぷと。そして物語の最後までらしさ見せ続けた彼の姿は人生の意味を感じさせる。2020/02/28

アン

116
20世期初頭のモスクワ。革命政府に、ホテルの狭い屋根裏部屋に軟禁される刑を下された伯爵が主人公。知識が豊かで品位があり、ふさぎ込まず、思いやりと行動力のある伯爵がとても魅力的です。優美で格調高いメトロポール・ホテルを舞台に、伯爵が滞在客や従業員達と交流を深めていく様子が生き生きと綴られています。伯爵の生活は限定されていますが、個性ある登場人物達との繋がりにより、物語はどんどん広がり、終盤には驚きが…。「自らの境遇の奴隷となってはならない」希望を失わずに生きることを伝えている物語です。 2020/01/08

Panzer Leader

98
ロシアの革命政府により無期限のホテルでの軟禁刑を言い渡されたロストフ伯爵の1922年から1954年までを描く物語、ちょっと暗そうかなとの思いは全くの杞憂。ロシアの最後の紳士たるこの主人公が滅法魅力的な上、めげない・あきらめない・ふさぎこまない・人生を投げない精神でホテル内の生活を満喫する。周りのホテルの従業員・宿泊客・友人・恋人そして二人の愛しい娘の登場人物たちもこの物語に深みを与えてくれる。最後の冒険小説風活劇がちょっと駆け足的な展開かなと思える以外は満点。ほっこりとした幸せな気分で読み終えられた。2020/02/19

藤月はな(灯れ松明の火)

92
ロシア革命後、銃殺刑は逃れたが、ホテルでの永久軟禁を余儀なくされたロストフ伯爵。それでも伯爵は持ち前の品位と知性に礼儀、そして古き良き思い出と喪失への諦念を以て人々と接する事で悠々自適にホテル内で暮らしていた。動乱期だったロシアに対し、ホテル内は、完璧で調和の取れた世界だった。ホテルでの出会ったニナの娘、ソフィアを預かるまでは。それまで丹念に描かれていた伯爵の生活が、不器用ながらも一人の女性の父親になっていくまでになると時の進みが数年分、一気に加速するのが印象的。そして娘を想っての大胆な行動に笑みが綻ぶ。2019/11/22

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