流れといのち - 万物の進化を支配するコンストラクタル法則

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流れといのち - 万物の進化を支配するコンストラクタル法則

  • ISBN:9784314011679

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内容説明

「生物・無生物を問わず、すべてはより良く流れるかたちに進化する」――この画期的な物理法則を「コンストラクタル法則」と名付けて1996年に発表した熱力学の鬼才ベジャンは、2018年に米国版ノーベル賞とも言われるベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞した。

「生命とは何か」という野心的な探究を軸に据えた本書で著者は、富と資源の流れや、階層制の遍在性、テクノロジーやスポーツや都市の進化、政治や社会を支配する原理、時間や死の諸相までを見渡しながら、生命と進化のみならず、さまざまな事象への見方をくつがえすような、戦闘的な文章で読者を圧倒する。

本書でベジャンは「生命」「進化」を、物理の視点で語る。
生命という定義には生物も無生物も関係ない。 動きながら自由に変化している=流れているものが生命だ。 流れが尽きた系には終焉(死)が訪れる。

生命とは、より長く生きたい、食物や暖かさ、力、動き、 他の人々や環境に自由にアクセスしたいという衝動なのである。
そしてベジャンはコンストラクタル法則の導きを元に、 確固たる自信をもって、より良い未来へ向かう世界を提示する。

  *  *  *

【本書への賛辞】

「快作! 100冊のビジネス書を読むより本書1冊を丹念に読むほうがずっとよい」
鎌田浩毅(京都大学大学院教授)

「溢れる嘘に惑わされることなく、世界の本質に沿って生きる人の、宝物となる本」
神田昌典(経営コンサルタント)

「ひと言でいってスゴい」
橘 玲(作家、新書大賞『言ってはいけない』著者)

目次

第1章 生命とは何か
コンストラクタル法則/貧しさよりも豊かさを/人間は機械と一体化した種になった/生命の捉え方/進化の捉え方/流動系とデザイン/非生命系の進化/地球はなぜ真っ平らにならないのか/水中翼船が現れた

第2章 全世界が望むもの
火と文明/熱の流れとかたち/地球全体におけるエネルギーの流れ/資源の持続可能性/力を我等に/経済活動の物理学/水の役割/生命には水の流れが必要だ/富の流れ/グローバル化のデザイン

第3章 目的を持った動きとしての富
より速く、より多く/階層制/少数の大きなものと多数の小さなもの/目的を持った動き/富を望む衝動、自由への衝動/流れに乗れ

第4章 テクノロジーの進化
動物の進化とテクノロジーの進化/小型化は自然に起こる/自ら動くものなどない/進化はしても退化はしない/進化とは物理の概念だ/飛行機の進化/二足歩行はテクノロジーの最大の革命である/テクノロジーの進化は私たちを解放する

第5章 スポーツの進化
体の大きさと速度/走者と泳者の進化を予測する/短距離走の勝者は誰か/高跳びの勝者は誰か/よくある専門家からの批判/動物のデザインは予測できる/動物があくびをする理由/スピード競技の速度に限界はあるか/球技におけるコンストラクタル法則/スポーツの将来を予言する水晶玉

第6章 都市の進化
都市は生きた流動系である/アトランタ空港で考える/芝地を渡る/移動しやすい都市のかたち/環状道路のデザイン/迅速で安全な避難のために

第7章 成長
成長はS字カーブを描く/成長の限界/S字カーブの特性に対する批判と応答/雪の結晶は一つひとつ違うのか/S字カーブが表すもの

第8章 政治、科学、デザイン変更
政治の流れとかたち/科学論文競争の物理学/誰もがより良い社会を望んでいる/統治機関の物理学/マルクスの失敗/ペンは剣よりも強し/世に問い質すこと/不満を抱えたソクラテスたれ/さらなる自由がもたらす良い流れ/遍在する階層制

第9章 時間の矢
マクスウェルの魔物/進化するデザインと時間/知は力なり/人工知能、文明、コミュニケーション/知識の流れとかたち/英語の支配/知能とは何か

第10章 死とは何か
なぜ大きな動物のほうが長生きするのか/ジェットとプルームのあいだ/河川の寿命/車両の寿命/動物の寿命/転がる石の寿命/渦の死、人間の死

第11章 物理学的現象としての生命と進化
法則は一つ、理論は多数/生命とは環境に影響を与えるものである/「より良い」の物理学/競争か共生か/楽観主義と希望/近年の論争/生命と進化への新たな視座/コンストラクタル法則の来歴/物理学的現象としての生命と進化

解説 木村繁男
訳者あとがき 柴田裕之
第5章の補遺
原注
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

98
著者は米国版ノーベル賞とも言われているベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞した、なかなかの熱工学者。  動物が欠伸をする理由について、それは気持ちがいいからだが、ではなぜ気持ちがいいか、そのメカニズムをも彼のコンストラクタル法則で説明している。泳ぎや走ること、投手などでも、背の高いものが有利な理由もこの法則で説明できるという。水泳で伸びる余地があるのは、自由形だろうとも。2021/12/29

デビっちん

16
『流れとかたち』の続編で、万物はより速くより多くを流れるように移動する「コンストラクタルの法則」を展開する内容でした。生物や地形、自然だけでなく、富やスポーツ、社会、政治、さらには時間など無生物であったり抽象的な概念にまで理論が適用されているのが衝撃です。自分の身近な環境で確認して納得できれば、未来予測が楽になるかもと感じました。2021/01/28

mft

8
「流れとかたち」の続編、"The Physics of Life" の翻訳。みなさんご存じのコンストラクタル法則で多岐に渡る題材を説明していく、というスタイルなので前著を読んでいないと置いて行かれると思う。だいたい説得力あるように感じるんだけど、政治の説明が(The Physics of Life の感想でも書いたけど)きれい事すぎで腑に落ちない2019/05/23

とりもり

5
前半は、ほぼ前作「流れとかたち」のダイジェスト。前作では丁寧に語られているコンストラクタル法則の導出過程が省略されているため、飛躍が多い印象で納得感が少ない。途中まであまり読む価値がないなと思っていたが、成長のS字カーブについて語る第7章あたりから印象が変わり始め、英語が国際語になった過程を説明する第9章、法則と理論の違い(法則は1つ、理論は多数)を説明する第11章などは非常に興味深かった。前書と本書の後半を一つにした完全版を作って欲しい。それなら★★★★★だが、本書単独では★★★☆☆かな。2020/01/30

人生ゴルディアス

5
科学史を繙くと、頭良すぎてオカルトに走ってしまう人がちょくちょくいるのを見かけるが、これもそのたぐいかな…と感じつつ読み進めていくと、要は「量の変化は質の変化」の運動量版のようだ。それをなんとか学ではなくコンストラクタル法則みたいな独自用語でやるから怪しくなるのかな…と思いつつ、やはりちょくちょく変なところがある。人間の移動が前方への落下運動だから、人間の走る速さの理論的限界値はこれ、というのは端的におかしくない…? 歴史についての言及も…。カナヅチを持ってるから全部が釘に見えてる感がどうしてもある。2020/01/05

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