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内容説明
『あの素晴しい愛をもう一度』『風』『戦争を知らない子供たち』……名曲が語る、日本人の生き方とは?『あの素晴しい愛をもう一度』が描く、「二人だけ」の濃厚な関係の終焉。『戦争を知らない子供たち』を生んだ、終戦直後の京都駅前という原風景。『帰って来たヨッパライ』に描かれた、人生の台本。『コブのない駱駝』という人間の二面性。『風』〈ただ風が吹いているだけ〉のはかなさ……いい加減に生きることを許されない現代、一度だけの人生を自分らしく創ってゆくためには、どうすればよいのか?作詞家でもあり、精神科医でもある、きたやまおさむ氏と、精神分析の世界の重鎮である前田重治氏が、精神分析というガイドを手に、人生物語を紡ぎ出す、遊びと創造に満ちた交流の旅。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
116
私と同じ年齢で大ファンの北山さんの最新著作です。というか九州大学の先任の講座を持っていて、それを引き継いだのが北山さんで家族付き合いもされているその前田先生とのコラボレーション作品です。最初は北山さんの400ほど作詞をしたなかから前田さんが20の作品を選んでその出会いを語り、それを北山さんが作詞した事情や自分の思いなどを綴っています。2部では北山さんのご自身の経歴や精神分析のことなどが語られています。最後は対談になっていて満足しました。加藤和彦やはしだのりひことの友情がいいですね。歌は下手だと自認してます2019/07/02
Isamash
26
2019年発行の作詞家精神科医にして九大教授であったきたやまおさむ及び前任九大教授前田重治共著。きたやまの歌詞を題材に二人が背景的な深層心理を語ってる。心理学のベースが無いせいか、語られている内容はよく理解できなかった。ただ、「戦争を知らない子どもたち(1970)」は父親世代への反発の歌であり、「帰ってきたヨッパライ(1967)は、あそびが好きで一つのことに集中できない分裂気味の気質からどうやら生まれたらしい。「さらば恋人(1971)」では楽しい共同創作が出来ずプロにはなり切れなかった実感も語られていた。2024/02/18
阿部義彦
21
元フォークルで「帰ってきた酔っぱらい」の作詞者、現精神科医のきたやまおさむさんと、九州大学で受け入れた恩師前田重治さんとの共著。2部に別れて、前半は代表作詞作のその詩における精神分析的めいたエッセイを各々おふたりがしたためています。私的にははしだのりひこさんの、「風」が最高傑作ではないかと思います。後半はおさむさんのどっちつかずの行き方の極意を伝授されます。集中するのが良い事とする日本的美意識に、どっちもやってなぜ悪いと食いつきます。拡散力こそ生きる源と!しかし、それも長続きせずいづれ忘れるのがおさむ流。2019/08/04
わいほす(noririn_papa)
10
フォークルの北山さんが懐かしい名曲を語るという魅力に読み始めたが、精神科医同士の対談がベースになっていて、やさしそうに見えて、けっこう小難しい。「あのすば」の「あのとき風が流れても」の「風」がはしだのりひこと作った曲を意識した加藤和彦との三角関係を表しているなど、フォークルの深層心理的に深い関係は、今もなお北山さんの心に深く根付いていて、だからこそ加藤さんの自死への哀しみがそこかしこに溢れている。第三者の読者より第二者の対談相手を面白がらせるのが楽しいそうなので、時に読者は学者同士の会話に煙に巻かれる。2019/07/19
大先生
9
「あの素晴らしい愛をもう一度」「帰って来たヨッパライ(オラは死んじまっただ♫)」などを、辛うじて知っている程度で音楽家としての北山氏=精神科医のことはほとんど知りませんでした。私の生まれる前のことなので、当然かもしれませんけど(笑)【何事にも陽も陰もある。祭りがあれば、祭りの後もある。良い加減=バランスを取りつつ両方併存している状態を受け入れるのがいい。別にどっちでもいいじゃないか。結論すらも。因みに自分(北山氏)は軽躁的だ】というお話でした。私ももう少し良い加減に生きていけたらなと思う、今日この頃です。2023/06/29