講談社現代新書<br> 院政 天皇と上皇の日本史

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講談社現代新書
院政 天皇と上皇の日本史

  • 著者名:本郷恵子【著】
  • 価格 ¥957(本体¥870)
  • 講談社(2019/05発売)
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  • ISBN:9784065160879

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内容説明

125代にわたって続く天皇制。その「天皇」の運用において、最も画期的だったのが「院政」の開始だった「万世一系」とうたわれる血統の再生産は、いかにして維持されてきたのか、それを支えてきた組織や財政の仕組み、社会の構造がどのようなものだったのか。「天皇制」の変遷から、日本の歴史を読み解く。本年4月30日、江戸時代の光格上皇以来、約200年振りに天皇が退位し、「上皇」の名称が復活することになりました。これは憲政史上、および一世一元の制が定められた明治以降初めてのことになります。神話時代は除くとしても、日本の天皇家は少なくとも千数百年にわたって、125代という皇位継承を実現してきました。これが可能だったのは、「天皇」の運用が非常に柔軟だったからでした。天皇不在で皇太子が政務をとった時期もありましたし、女性天皇や幼帝が位につく場合もありました。また天皇は終身の地位ではなく、譲位も頻繁に行われていました。天皇の地位が日本の頂点に置かれていたことは間違いないとしても、時代の政治状況に応じてかなり大きな幅をもって運用することができていたのです。いえむしろその運用のさまは、ほとんど場当たり的といってもよいほどです。その「天皇」の運用において、最も画期的だったのが、おそらく「院政」の開始でした。古代以来の制度である太政官制を保持したまま、速やかな政治的判断と断固たる政治的決断を可能とする回路を作り出し、新しい時代を開いたのが、この院政という方式だったのです。天皇の父であることを根拠に権力を掌握した「院」=上皇のもとに、日本のさまざまな場所で胎動していたエネルギーが引き寄せられ、大きなうねりとなったなり、中世という、新しい時代を開いたのです。本書では、「院政」という政治方式をを通して、「万世一系」とうたわれる血統の再生産がいかにして維持されてきたのか、またそれを支えてきた組織や財政の仕組み、社会の構造がどのようなものであったかを考えていきます。

目次

はじめに
第一章 院政以前――譲位と太上天皇
第二章 摂関政治と後三条天皇
第三章 中世の開始と院政への道
第四章 白河院の時代
第五章 院政の構造
第六章 内乱の時代
第七章 公武政権の並立
第八章 院政と公武関係
第九章 中世後期の皇位継承
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えちぜんや よーた

81
「読んだ本」というより「挫折した本」。古代から中世にかけて近現代のように皇室典範に基づいて皇位継承が機械的に決まっている訳ではなかった。なぜその親王が皇太子になるか常に時代背景やおやっさんの意向(権力者のわがまま)を追っかけておかなくてはならないので、読むのがしんどかった。2012年にNHK大河ドラマとして放送された「平清盛」で主人公の清盛は白河法皇のご落胤(私生児)として設定されていたが、本当にそうだったかもしれないことが書かれている。NHK大河のマニアックなファンの方には向いている本かもしれない。2019/07/07

Toska

20
前近代の天皇は「退位」ではなく「譲位」する(18頁)。それは新帝を選定・指名し地位と権威を譲り渡す行為、すなわち人事権の行使に他ならない。そう考えてみると、引退した者が現職より偉いという摩訶不思議な現象も腑に落ちる。しかも、現職と違って制度的な縛りがなく、自由度が高いから始末が悪い。本書で語られる白河院の怪物っぷりは一見の価値あり。2024/11/08

さとうしん

19
どちらかと言えば副題の「天皇と上皇の日本史」の方が本書の内容を的確に言い表している。女院や法親王の役割、天皇家のあり方と藤原氏や武家とのそれとの比較、宮家(親王家)の制度化、南北朝期や近代のように、天皇が政治・軍事を差配しようとすれば、特に軍事方面で役割を果たす多くの親王を必要とする(逆にそうでなければ天皇家のメンバーの絞り込みが必要となる)といった話を面白く読んだ。2019/05/20

bapaksejahtera

15
12世紀を前後する数十年の間に成立した特異な統治システム院政を採上げ、これに関わった多くの上皇の個性と勃興期の武士との政治関係を描く。我が国天皇制の由来と変遷、寵愛の女性に家産を委ねる「女院」の説明が興味深い。高位政治システムのみならず、院政を支えた下級官僚群の働きも目を瞠く。僅かな紙幅の中に外戚始め天皇制の血統維持の問題等、今日の我が国天皇制やその統治システムに大きく繋がる諸点を骨太に描く。院政を支えた下級貴族による家産維持の態様は、院政が揺らいだ後も影響を残した。官僚制を考える上でも貴重な内容だった。2022/12/30

MUNEKAZ

13
夫君に続いて(?)タイムリーな一冊。内容はしっかりしており、後三条天皇を画期として院政というシステムが生まれた背景や、それを許容した朝廷や皇位継承の弾力性がよくわかる。またときに挟まれる括弧書きの著者のコメントが、なんとも皮肉な調子で面白い。個人的には親王の扱いの変化が興味深くて、摂関期には次期天皇のスペアとして多く立てられたかと思えば、院政期は円滑な父子継承を妨げるものとして出家させられ、はたまた親政を志す後醍醐帝の下では帝の分身として列島を駆け巡ったりと周囲の状況や時代に翻弄されている印象が強い。2019/05/24

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