内容説明
老人よ、すべからく不良たるべし――。筒井康隆84歳、大江健三郎、ウンベルト・エーコ、蓮實重彦など世界文学最前線から現代日本の気鋭作家までを縦横に論じ来り、小松左京や井上ひさしや丸谷才一を追悼し、自作の創作裏話を打ち明け、宗教や老いをも論じ去る。巻末にロング・インタビューも附す、巨匠14年ぶりのエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MICK KICHI
100
谷崎潤一郎賞、三島由紀夫賞、山田風太郎賞の選考委員としての寸評。その中から文庫化した際の解説分が、2000年代から時系列的に読める。筒井先生の推した作品にチェックを入れるだけで、読書生活の大事なガイドになります。 その他は内容的に最近のムック等との重複内容が多いので、斜め読みで良いかな。2018/11/27
keroppi
78
昨年新刊時にすぐ買っていながら、もったいなくてなかなか読めずにいた。読んだら、あっという間に読んでしまう。色々な所で書かれた文学に関わる文が集められている。ここにも書かれている「クォンタム・ファミリーズ」も「名誉と恍惚」も「大きな鳥にさらわれないように」も、どこかで筒井さんの書評を読み、読んでハマってしまった作品たち。まだ読んでいない「実験的経験」も「介護入門」も「ドバラダ門」も…全部読みたくなってくる。それに、筒井さんの新刊、出ないのかなぁ。2019/08/29
優希
54
面白かったです。文学を緩い括りで語ったエッセイでした。書評やコメントなどバラエティに満ちています。筒井サンは谷崎が好きなことを論じているのには微笑ましくなりました。愛に満ちた文学論と言っても良いですね。2023/05/25
山田太郎
49
よく考えると、一番好きなのは日記系で2番目が書評だったりするので、あんまりいい読者ではありませんが、こういう年の取り方かっこいいというか最後の文豪というかこんなえらそうな作家もういないなと。星小松筒井がいる昔のSFすごいよなというかその頃の昔話がやたらおもしろい気がする。昔のやつ読もうかと思うのですが、なんか怖くてなかなか手がでませんのは、なぜなのかと。2019/04/16
ぐうぐう
33
本や作家について書かれたエッセイをまとめた『不良老人の文学論』。作家との交流を綴った「半島の貴婦人」、文庫の解説等を収録した「情欲と戦争」、文学賞の選評としての「今、二極化の中で」、そして自作について語った「不良老人はこんなに楽しい」の4つの章仕立て。文庫解説を担当した作品の幅広さに驚かされる。池上永一や冲方丁、あるいは盟友・山下洋輔辺りはテリトリーとして納得なのだけど、谷崎や三島といった文豪、 御大・蓮實重彦に、川上弘美や阿部和重などの中堅、(つづく)2019/09/06