中公文庫<br> 彼女に関する十二章

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中公文庫
彼女に関する十二章

  • 著者名:中島京子【著】
  • 価格 ¥726(本体¥660)
  • 中央公論新社(2019/04発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122067141

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内容説明

〈五十歳になっても、人生はいちいち驚くことばっかり〉

息子は巣立ち、夫と二人暮らし。会計事務所でパート勤務の宇藤聖子が、
ふとしたことで読み始めたのは、六十年前にベストセラーとなった「女性論」。
一見古めかしい昭和の文士の随筆と、
聖子の日々の出来事は不思議なほど響き合って……。

どうしたって違う、これまでとこれから。
人生の新たな段階を迎える世代ならではの感慨と、思いがけない新たな出会い。
セクハラ、LGBT、貧困――身近な社会問題を織り込みながら、
くすりと笑える読み心地のよさ。
ミドルエイジを元気にする上質の長編小説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

434
主人公は50歳を迎え、閉経目前の聖子。物語は伊藤整の『女性に関する十二章』に倣ってほぼ同じ章題の12章からなる。1954年に書かれた伊藤整をいかに現代的に換骨奪胎してみせるかが、いわば中島の腕の見せどころ。聖子の1人称語りは軽快なテンポで進んで行くが、おそらく意識的にだろう、時代を強く反映したものである。社会そのものもだが、とりわけそれは対人関係のあり方に顕著だ。50歳を既に経験した人には聖子の心の動きは実感を持って迫るだろう。まだ経験しない人たちには、また違った明日が待っているだろうか。2021/10/16

しんごろ

193
主人公の聖子さん、年齢のせいか余裕があるというか、のほほんとしていいね。旦那との夫婦仲も心地よい距離感。だからなのか、幼なじみの息子さんやらが寄りついてくる。のほほんとしてるけど、言うときは言う聖子さん。友達っぽい感じでもあり、頼もしく感じるんだろうなあ。聖子さんとお会いしてみたいと思う素敵な女性。物語は、そんな聖子さんと60年前の「女性論」が共鳴して、読んでて、なんじゃこりゃと思いつつも、なんか笑うというより、にやけちゃい、心地よくさせてくれる味のある物語でした。BGMには平松愛理がいいかな。2020/07/13

ふじさん

98
息子が巣立ち、夫との二人暮らしで事務のパートをする平凡な主婦の日常を揺らす様々な事柄が語られる。伊藤整「女性に関する十二章」という60年前の「女性論」を語ったベストセラー随筆と出会う。一見時代遅れの随筆の内容と聖子の日常が不思議と響き合い、思わぬ出来事や人々との出会いが次々と起き、彼女の人生に大きな影響を及ぼすことになる。閉塞感が漂う今の時代の問題を織り込んで、ユーモア溢れる語りが心地いい。解説の酒井順子が書いているように、日常のあれやこれやが、過去と分かち難く結びついてことをそっと伝えてくれている。 2022/12/25

エドワード

63
伊藤整というと「チャタレイ夫人の恋人」しか想起しない。50歳の宇藤聖子は、この60年前の人気作家が書いた「女性に関する十二章」をふとしたきっかけで読み始める。初め古臭いと思っていた書物が意外と現代にシンクロし、彼女の平凡な日常が輝き出す。風変わりな二人の男性・久世穣と片瀬幸雄も聖子の心に火を灯す。「愛とは何か」「正義と愛情」相似形を保った章題が興味深い。中島さん自身の投影のような聖子と良き伴侶・守氏の教養あふれる会話、印象的なフレーズ、ちええ・鰯で精進落ち・コール天、たくさん笑って気持ちが暖かくなったね。2019/11/04

Shoji

53
主人公の聖子さんは、50歳を過ぎたところ。体もそろそろ変化の兆し。結婚して25年、子供は独立し、仕事もそこそこ、夫婦仲もそこそこ。そんな聖子さんの身の周りに起きる十二の喜怒哀楽の物語。些細なことに翻弄される日々が綴られています。とても微笑ましく、まるでホームドラマのようでした。面白かったです。2019/04/13

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