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内容説明
ひたすら彫る。彫るために生きる。それが仏師だ。全く新しい美を創造し、日本芸術史に屹立する天才運慶。その型破りな人生とは――。少年の頃、「醜い顔」と嘲られた運慶は、女の姿態や鎌倉武士の強靭な肉体に美を見出していく。快慶との確執、荒ぶる野心。棟梁として東大寺南大門の金剛力士像を完成させた絶頂期、病に倒れた。劇的な生涯を描ききる、本格歴史小説。中山義秀文学賞受賞作品。(解説・籔内佐斗司)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
289
面白かった。ネットで各仏像の画像を見ながら読み進めると、とても楽しい読書となった。俗っぽさというか人間くささというか、変に高邁にならない運慶の姿は読者が自分を重ね合わせやすい。運慶/快慶ばかりがやはり目立っているが、調べてみると、他の運慶一派の後世に残る作品は多く、あまり良く描かれていない定朝の作品がかなり好きだったりする。金剛仁王像作成に絡む逸話にどうしても注目してしまうが、この描き方だと、阿形像よりも吽形像が優れているような偏見を与えてしまいかねないのは如何なものかと思った。2020/08/05
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
142
平安から鎌倉時代の奈良を舞台に、天才仏師として生きた運慶の物語。単に美しい仏像を彫るだけの木彫り師の枠を越え、造仏を常に人々の切なる祈りの対象であるものと向き合うことと捉え、そこに込められた思いそのものを忘れることはなかった。人はいずれ死に、この世から消える。そんな当たり前の無常を突き付けられる。仏像に関心があれば更に深く楽しむことができたのかもしれない。仏教に普段触れることがなくても、この手の話は静かにしみわたっていく気がする。梓澤さんの作品は味わい深い。2022/05/15
chantal(シャンタール)
93
平家による南都焼討から始まる物語の背景は平家物語の世界にそのまま重なり、とても楽しめた。承久の乱までの波乱に満ちた時代を生きた運慶はそれまでの仏師の主流であった京派との競争に生き抜くため、鎌倉幕府、公家社会のどちらとも関係を築き仕事を獲得して行く。その辺りの話は面白かったのだが、内容としてはあまり深みがなく、運慶の人物像や快慶との確執など、もっと掘り下げてあればなあと、そこは残念。しかし東大寺の仁王門を始め、運慶の作品リストや鑑賞ガイド本としては活躍しそうだ。また見仏の旅に出たくなる。2018/12/28
Major
57
天才仏師・運慶の劇的な生涯を描き切った。仏師の生涯にスポットをあてた先駆的本格歴史小説である。武士の如き逞しさを宿す天才としてとらえる運慶の生涯に迫る。自らの醜い容貌ゆえに美へ渇望を抱く姿は、彫像に命を吹き込む執念となり読む者を圧倒する。彼を取り巻く女性たちの豊かな造形が物語に深い陰影を添え、ライバル・快慶との確執から和解に至るまでの魂の葛藤は、芸術家ゆえの孤独と熱情を鮮烈に描き出す。単なる伝記を超え、美の根源を問うドラマとして、運慶仏のみならず古都の仏像を巡る前にぜひ一読をお勧めしたい一冊である。2026/04/27
優希
47
ひたすら生きるために彫るのが仏師というあり方が刺さりました。仏に命を吹き込んでいるんですね。運慶はそれが激しく、それが故に東大寺の金剛力士像を彫り上げたのだと思います。その劇的な生涯はまさに荒ぶっているように見えました。2023/04/14
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