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内容説明
明治四年、一本の海底ケーブルに始まった「通信」のパワーゲームを日本はいかに戦ったか。政治、外交、軍事、諜報、経済……あらゆる資源を投下しても埋めきれなかった列強との差。疑心と慢心に敗れた情報戦としての太平洋戦争、そして戦後――。今なお拡大し続ける「情報の戦争」を源流から理解する、技術(テクノロジー)と戦略(ストラテジー)の興亡。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
九曜紋
11
前職での先輩の手による2冊目の著作。明治開国期からインターネット隆盛の現代までの150年を俯瞰した日本の通信史。300余の引用文献を明示した一大叙事詩ともいえる労作。なかでも、未だに諸説ある日米開戦時の最終通告書の手交の遅れの問題に多くを割き、従来説を検証しながら真実に迫る部分は読み応えがあり、圧巻。先輩の研究姿勢とその成果に心から敬意を表したい。2018/11/28
templecity
8
明治初期の通信ケーブルを巡る欧米との隔週から現代までの通信の状況までを記載した大作。通信ケーブルの権利を押さえるということが如何に国益につながるかが良くわかる。外国に通信を押さえられるということは機密が漏れるということにつながる。その後、長波無線通信が短波が主流となり、っ無線はどこでも傍受できることから暗号の各国の駆け引きがあった。日米開戦時の日本と駐米日本大使館とのやり取りは詳しい。(続きあり)2019/02/10
tolucky1962
7
かつて日本は軍事費増で目先の資金と技術が不足し海外企業に国際通信独占権を与え通信主権を手放したことが禍根を残した。太平洋回線開通後,日米関係悪化,戦争では暗号解読される。通信技術の重要性を知りながら十分育成されず,外交でも押し切られ,軍事費優先による資金不足で通信主権を失い敗戦へ繋がった。歴史の教訓を見返すべき。今技術で差をつけられているGAFAに情報を収集され,NTT法を廃止して防衛費のために海外に株を売るのは通信主権を失いかねない国防問題だ。武器だけで国は守れない。2024/10/27
まるさ
4
日本近現代政治史を「通信」を軸に述べた本。有線、無線の通信についてバランス良く取り上げていた点は良かった。 国内外の政治的やり取りの記述がメインだったが、個人的にはもっと通信技術的の解説を期待していたのでそこは少し残念2019/05/31
Masayuki Shimura
3
【国際通信史の研究は、外交や国際関係、戦争のみならず経済、国際交流の歴史研究にも新たな知見をもたらす可能性を秘めているのである】(文中より引用)・・・・・「通信」という目に見えないものを上手く歴史に落とし込んだナラティブ力にまず関心してしまいました。そしてそこから浮かび上がってくる通信が歴史に果たした役割の大きさにも驚愕。新たな側面から歴史に光を当てた佳作と言えるのではないかと思います。2023/08/30