内容説明
霞ヶ浦のほとりのレンコン農家に生まれ、民俗学者となった若者が実家の農家を大変革。目玉は1本5000円と超破格の値段のレンコンだ。マーケティングと民俗学の知識を応用した戦略で、そのレンコンはニューヨーク、パリ、フランクフルトなどの高級和食屋で使われるだけでなく、注文を断るほどの「バカ売れ」に。「ブランド力最低の茨城県」から生まれた、日本農業の方向性を示す「逆張りの戦略ストーリー」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
33
レンコン農家に営業したことがあるが、レンコンづくりの大変さが中々、消費者に伝わっていないように感じる。冬も池に入って収穫するから、お酒で体を温めて気合で頑張るところもあって壮絶。味も米と同じで窒素分が効きすぎるといろんな病気を呼び込むし、まずくなる。味の違いというのも消費者には伝わっていない。それに加えて世界からみた東アジアの野菜として泥沼あら掘り出す穴がリズム良く空いている立ち位置がユニーク。レンコンを信じて農業と向き合う著者が眩しくて正視できない。2022/03/03
yyrn
22
新しい職場の顧問に勧められた本。実家がレンコン農家で民俗学者の著者がぞんざいに扱われるレンコンの価値の再生に取り組んだ本で、商売のヒントが色々あった。それまでの日本の農業が目指した「生産性の向上」では農家は幸せになれないと決別し、また付加価値をつけるといっても多くは「使用価値」の向上(食味や糖度等の向上)を目指すものばかりですでに限界がきていると見切りをつけ、目指すはエルメスのバッグのような「記号」性だ!と、学者生活との二足の草鞋の中で奮闘する様子がつづられている。確かに陰口もたたかれただろう。2019/07/04
もえたく
17
最近、第2弾も出版されたので、気になっていた第1弾を手に取る。レンコン農家に生まれた民俗学者が、その思考力と行動力でレンコン販売だけで年商1億円とした戦略とは。「生産性モデルの向上モデル』との決別や、経済的な不足を文化的・社会的な充足で補填する「やりがい搾取」からの脱却と言う。実父を敵に回しての奮闘ぶりも率直で面白い。著者の論じた参考文献の「愛知県産蓮根の市場流通において農業改良普及員の果たした役割」も読んでみたい。2022/03/07
水ポテンシャル
17
最近読書から遠のきつつある生活習慣に。。きっかけをと再読!扱っている物、これが特段いい訳では無い。やり方次第で上手くいくもんだなと改めて思えましたし、農業の可能性もまだまだだなと!2020/07/08
Meme
16
農業は本職なので、、、基本的に著者の意見で賛同できるところはほぼありません。一見攻め気ですが、本質的には保守的です。いち経営体としてみたときに、売上1億円をプッシュすることに、それほど意味も見いだせません。一般的に零細企業の水準です。生産性の話も国内需要のみが土台にあります。レンコンを世界市場でどう確立していくか、という目線で考えるなら、生産性向上は必須なはずです。行動力影響力に自信があるなら、もっと目線をあげた議論と行動へ変わってほしいです。生意気ながら。2023/07/13