NHK出版新書<br> 宅地崩壊 なぜ都市で土砂災害が起こるのか

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NHK出版新書
宅地崩壊 なぜ都市で土砂災害が起こるのか

  • 著者名:釜井俊孝
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • NHK出版(2019/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784140885826

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内容説明

想定外の豪雨や地震で起こる、地すべりや土砂崩れなどによる都市域での宅地被害を、私たちは防ぎようのない自然災害だと思いがちだ。しかし、「持ち家政策」を推進してきた、戦後日本の宅地開発に伴う社会・経済史的背景とその開発工法をたどると、隠れていた真実が見えてくる─。「他人事」と看過できない現代日本の宅地の危機を、斜面防災の第一人者が解き明かす、括目すべき一冊!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アナクマ

34
宅地造成地で多発しうる「谷埋め盛土地すべり」「人工崖崩壊」の危険性について。それは都市開発が生み出す「遅れてきた公害」だと指摘。自然現象と社会経済現象の交点で時限爆弾のように発生する。◉その補償には税金が投入され、不足分は被害者が負担するのが今の仕組み。土地開発者は逃げ得の構造。予防法学のありかたも問う。◉周囲の反対を押し切って女川原発を(安全な)高台に設置した東北電力・平井氏の信条「技術者には法令に定める基準や指針を超えて結果責任が問われる」。技術者にどれほど響くか。経済性と時間軸で考察を加えたい。2019/08/13

aochama

6
再読了。能登半島地震を機に再読。戦前の全否定、持ち家政策、高度成長期のミスリード、土地偏重等々が絡み合って生まれた谷埋め盛土の造成。地学の軽視による危機管理の欠如が相まって現在の重大なリスクとなり、来るべき首都直下地震でさらに顕在化するとします。しかも多くのハザードマップは不動産業界への忖度か正確に情報を伝えていない。このようななかでどう生存戦略するか、とても考えさせられます。身近な危機に気付かせてくれる良書でした。2024/02/04

おおかみ

6
悲劇をどれだけ目にしただろう。毎年どこかで土砂災害が起き、かけがえのない命や財産が失われていく。ともすれば異常気象の前に人の営みは無力で、減災に努めるのがせいぜいのところだと思いがちだが、ではなぜ新たに開発された安全なはずの土地で未曾有の災害が起こるのか。土砂災害の第一人者である著者は、戦後日本で推し進められた宅地開発に原因を見出す。/本書の指摘はもっともだと思うが、果たして抜け出す術はあるのだろうか。自然災害とはまた異なる種類の絶望感を抱く。2019/06/03

mdoguti

4
土質力学の盲点を、実際の災害事例に照らして指摘。『土質力学が、時代の流れに取り残されつつある』ことを痛感した。設計に直接は使えない地学(の中の地質学)の知識は、土木の世界では軽んじられる傾向にある。土質力学への地学的知見の反映が、速やかになされてほしいと思った。2021/01/25

aochama

3
最近は宅地での土砂災害が目立ちますが、なぜなのかを宅地被害が大きかった宮城県沖地震以降の地震や水害を丁寧に分析。盛土に着目します。そして、マイホームを取得するという風潮、ハウスメーカー、デベロッパーという日本独特のビジネスモデルなどが複雑に影響した結果とします。一方で。防災減災の必須知識として地学教育の必要性も訴えます。何れの主張も当を得ており、賛同できました。宅地造成の歴史的経緯のくだりは、とても勉強になりました。目先の欲にかられた結果とは嘆かわしい。2019/10/12

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