内容説明
教養という概念は「人格は形成されるもの」という考えと結びついている。人格を形成する役割はかつて哲学や純文学が担ってきたが、ゼロ年代(2000~09年)になると若者に対するポップカルチャーの影響は無視できないものとなった。本書では、ネットで話題になった近畿大学の講義をもとに7つの「10年代アニメ」(2010年代に放映されたアニメ)を教養として分析することで、現代社会や若者についての理解を深めていく。 ※電子書籍は2017年2月に『教養としての10年代アニメ』として、ポプラ新書より刊行したものを、ルビを加え選書化したものになります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
30
取り上げられている作品でちゃんと見てたのは『まどマギ』のみ、あとは全てタイトルしか知らない作品ばかりだったので、これはもう教養として押さえようと手を出した。ネタバレ防止でストーリーは紹介されないので、設定の情報性や、分析のベースとなっている「再帰性」などをよりどころに知らない作品を読んでいくのはなかなかにアクロバティックだったが、それでも「COPPELION」は見なきゃと感じた。◇教養は、それを持つことで作品の享受が何倍にもなるもの。特定の作品ではなく、群としての作品たちが教養を作るのが今なのではと思う。2017/03/31
活字スキー
17
『まどマギ』『SAO』『俺ガイル』等の2010年代アニメを、大学での講義の題材として語るのだが……う~ん微妙。用語の使い方も含めてそれこそ意識高い系やこじらせ中二病のオタクが得々と語りそうな話が多かった。日々膨大な数が生産消費されるオタクコンテンツの中には多様な解釈のしがいのある濃いものもあるだろうが、今やろくに深夜アニメもチェックしないぬるオタに成り下がった自分からすると、自分なりに何かを語る際、イイ歳してアニメやゲームしか出てこないというのはいかがなものか。2017/02/19
袖崎いたる
13
内容としてはかなり薄い。ネタバレや印象語りなどを慎んだ結果、取り上げるアニメ作品ひとつひとつへの言及が集中力のない散漫なものとなっている。しかし新書なのでそれもまたよし?著者はどうやらラノベ的なリアリズムの系譜に「ネットワーク的リアリズム」とやらを付け加えようと画策しているらしい。気をつけておくべきは、本書が掲げるところのアニメも教養であるという意想に大いに感銘を受けるにしても、教養としてアニメ(及びポップカルチャー全般)を立ち上げるための屋台骨には従来の教養主義が奨励するお勉強を抜きにはできない点。2017/03/16
光心
11
教養を持ってアニメを分解し、それを複数作品と組み合わせることで教養の重要さを示すという目論見自体は上手くいっていると思う。が、如何せんこちらの教養のなさが露呈する可能性が高いこと、また著者自身の教養が正しいと主張することが難しいこと、がハードルとなっている。実際、面白くはあるが、疑問を挟む余地のある部分も多く、また原作がある作品に関してはアニメだけ見ている印象があり、少し外している部分があると思えるのはちょっと残念。ま、10年代のアニメを方向づけたのはまどマギだというのは大いに納得。2017/10/11
梟をめぐる読書
10
『中二病でも恋がしたい!』や『ソードアート・オンライン』など10年代に話題となったアニメを最新の学問(社会学とか経済学とか)と結び付け、読者を「教養」の世界へと誘う。冒頭に記された著者の気概とは裏腹に、あまりにもオーソドックスな形式のサブカルチャー講義録に収まっていることに逆に驚く。とはいえ著者のアニメ作品やスタッフに対する尊敬は信頼できるものであり、その姿勢は①極力ネタバレをしない②スタッフの前歴を参照する③「異世界転生」など流行のワードを分析する際にも安易な社会反映論に走らない、など随所に表れている。2018/06/21
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