内容説明
生物多様性という言葉を聞く機会が増えてきた。「生物多様性の危機」が叫ばれる今、市民や企業、科学者や研究機関、行政、さらには国際機関に至るまで、さまざまな場面で生物多様性を保全し、将来へ残そうとする試みが見受けられる。それでは、生物多様性とは何だろうか? いったい何を守ろうとしているのだろうか? 生物多様性を保全することの意味や意義は? 本書は、これらの問いに答えることを目的としている。
生物多様性の評価方法、保全の意義などは一義的に定義できるものではない。自然からの目線、社会からの目線を踏まえつつ、多様に評価でき、多様な意味を持つ「生物多様性」について、本書では幅広く解説する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
izw
13
「共立スマートセレクション」は、その分野の第一線で活躍する研究者が自分の研究も含めて、最先端の研究動向を分かりやすく解説するシリーズである。本書も生物多様性の素人であっても、分かりやすく丁寧に解説されている。生物多様性は自然界の生物の生態系にだけでなく、生態系サービスという人間の生活を含む生態系に関係してくる問題であることを改めて思い至ることができた。2018/03/13
テツ
12
生物の多様性を我々ホモサピエンスが保たなければならない的な傲慢さはわりと嫌いなのだけれど、動物は(一般的な意味で)好きなので、絶滅等防ぐことができるのなら防いでやりたいと思ってしまう自分自身の面倒臭さを確認しながら読み終える。多様性を示す指標にだって様々な種類があるということ。そもそもどのような状態で地球上に生物が広がっていたら多様性があると判断できるのか。考えてみればあたりまえに思いつくような疑問にすら気づいていなかったな。「何故多様性を保つ必要があるのか」答える人間によっていくらでも答えは生まれる。2023/09/07
Arisaku_0225
11
保全生物学の課題図書として読んだ。生物多様性を保全するためにはまず生物多様性を理解しなければならない。本書ではその生物多様性を形成する概念や果たす役割、生物多様性を評価する基準などなどが解説されている。愛知目標で設定された多くの基準は目標より下回り、現在生物多様性保全への危機感と注目度はより一層増している。そんな中でいわゆる生物屋とその他の人種では生物多様性保全の目的というか捉え方にズレが生じていると常々感じてしまう。人間に便利だから守るのか?居ないと困るから守るのか?じゃあ人に危害を与えるものは絶滅→2023/07/07
センケイ (線形)
7
当初は多様性を統一的に数理モデル化しようなどと意気込んで手にとったが、いい意味でその一筋縄では行かなさに期待を裏切られることになる。多様性を定義しようにも一元的にはいかず、地理的なバラツキがあるかどうか、遺伝的あるいは形態的特徴のいずれかまたは何を指標に取るかなど、まさにメタな多様性が問われている。また、人間社会との関係、つまりサービスとの多様性が語られる点も、これまた自分好みの分野横断的な話題だ。人間も生物もアクターとおいて系全体を考えることはチャレンジングではあろうが、心くすぐる嬉しいトピックである。2020/04/29
YNR
1
生物多様性の考え方が様々にあること。ある測定方法による多様性が失われていても、別の測定方法による多様性が同じ挙動を取るとは限らないこと。 レジリエンスやサステイナビリティとの関連で展開されている。2018/05/18
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