内容説明
「戦国の梟雄」と語られた人物。だが主家や将軍殺し、信長との三度にわたる敵対など、その多くは事実ですらない。室町社会の家格秩序に挑んだ改革者として初めて正当な評価を下す決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
86
ゲームソフト『信長の野望』の攻略本に「義理値1」だの「趣味は裏切り」だの言いたい放題の言われていたのは平成時代中期の事であった。それから幾星霜、『戦国遺文三好氏』が刊行され一気に軍記物語から一次史料が用いられるようになって、いきなり明瞭になったのだ。ゆくゆくは『戦国遺文織田氏』が纏めれ研究が進み、また、戦国時代像か変化するやもしれません。その様にして歴史研究は進んで行くのでしょう。六点がかつて勤務していたところの近所に松永久秀の生誕の地と言う駒札が立ってました。その札の五百住ってこの本読むまで知らなんだ。2025/04/03
Book & Travel
55
今回の大河ドラマで存在感を見せている梟雄・松永久秀の実像に迫った一冊。戦国好きだが、三好、松永に足利将軍が絡む畿内の複雑な情勢はどうも理解しきれない。専門的で膨大な数の人物が登場する本書でその流れが掴めたとは言えないが、久秀の生涯と意外な実像が判り面白かった。将軍殺害、主君殺害、大仏焼討ちといった「悪行」は何れも誤解と後世の創作。能力で三好長慶に引き立てられ、忠節を尽くした遣り手実務家の久秀は魅力的である。ただ当時の秩序を壊す程の地位に導いた高い能力は、秩序を好む人々にとっては忌むべきものだったのだろう。2020/03/31
Y2K☮
43
名著。将軍義輝を殺し、東大寺の大仏を焼き、主君を意のままに操り、最後は愛する平蜘蛛の釜を信長に渡すまいと共に爆死。これらの逸話は誤解か後世の虚構である。だが久秀が下剋上の権化であることを著者は否定しない。彼が戦った相手は足利将軍家が中心に居座る家格中心主義だった。身分や家柄ではなく卓越した能力(外交交渉が得意で、軍事や裁判もいける。有能を絵に描いたような実務的官僚)で這い上がる姿に敬服した。と同時に彼を見出し、大名同然の立場まで引き上げた主君三好長慶の器量も素晴らしい。結論。歴史認識は定期的に更新すべし。2020/08/31
Y2K☮
30
南北朝の動乱や山内&扇谷の上杉家の争いと同じく、敵と味方がコロコロ入れ替わる。秩序が乱れ、明日をも知れぬ世では目先の利益が全てなのか。本書と今村翔吾「じんかん」を原作にした大河ドラマを見たい。時の将軍・足利義輝を殺したとか東大寺の大仏を燃やしたとか、信長に刃向かって敗れ、平蜘蛛の釜を渡すことを拒んで爆死したなどの真相を広く知らしめてほしい。せめて将軍殺害は若い連中の(苦労を知らぬ二世代目にありがちな)合理主義に堕した暴走で、久秀は関与していないことだけでも。三好長慶こそ戦国期最初の天下人という認識も重要。2024/04/11
鯖
23
麒麟がくるでの爆弾正さんが爆死記念(期待)に。ウウウ。将軍暗殺、大仏焼き討ち、下剋上の権化と悪名高い松永さんが昨今の研究で、主家三好家に対して忠義を尽くしたこと、母と妻に愛情深く家族思いだったこと等が描かれる。それでも著者は彼が下剋上の権化たることを否定しない。三好家中での家格秩序、足利将軍を頂点とする武家の秩序、興福寺による大和の支配秩序といった既得権益に対し下剋上を試みる姿を丹念に描いた良書。2021/01/10
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