内容説明
障害者は、子どもを産んではいけないのですか? それは、基本的人権の尊重を謳った日本国憲法下で、国家が半世紀近くも障害のある人々に不妊手術を強いた「究極の人権侵害」だった。国家による“命の選別”はなぜ行われ、なぜ放置されたのか。そして、優生保護法なき今の社会に「産む自由」はあるのか――。毎日新聞取材班による衝撃のドキュメント。かつて、「不良な子孫の出生を防止する」と謳った優生保護法の下、2万人以上の「障害者」が不妊手術を強いられた。終戦直後の1948年につくられ、96年まで続いた優生保護法。半世紀近くの間「強制不妊」が行われたのはなぜだったのか。厚生労働省や各都道府県に残された資料と、被害者、当時手術を行う側だった医師らの取材から、その実態に迫る。2018年度新聞協会賞受賞キャンペーン報道「旧優生保護法を問う」待望の書籍を電子化! 掲載記事、1年余で実に500本以上。「資料の発掘を通じて負の歴史を検証し、被害者・家族の悲しみや意志の悔恨など、数々の証言を引き出し多角的に報じた一連の報道が、救済制度実現の動きにつなげた」(新聞協会賞受賞理由より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
39
優生保護という法律のもと行われた戦後最大(と言っていい)人権侵害の実態。この問題を最初に取り上げた毎日新聞が全都道府県に公開請求した調査報道をまとめた本。読み応えあり。障害者や人権に対する意識はこの半世紀でどんどん変わってきたのに、置き去りにされていた被害者たち。変わったと思ってる自分の中にまだある優劣の意識にぐさりと刺さる。明日は仙台地裁で判決が出ますが、国がきちんと責任を認めるのかに注目。2019/05/27
とくけんちょ
36
今の時代じゃ考えられないことが、国主導のもとに行われていた。その過ちを正すため?に理解を深める。時代によって、当然ながら正誤は変化するものであって、いつの世にも虐げられる人たち、少数派がいることに変わらない。何かを断罪してしまうことには、いつも違和感を覚える。変化は必然2024/07/30
遊々亭おさる
23
当時の医学では、遺伝が原因と考えられていた精神疾患者に強制を伴う不妊手術を施し、障害者の根絶を謳った優生保護法。その成立の背景から今日の国に賠償を求める裁判までの流れを解説し障害の有無に関わらず、憲法で認められた幸福を追求する権利を行使できる社会の在り方を読者に問いかける一冊。バリアフリー化が進む現代においての知的障害を持つ女性の母親の「娘に不妊手術を受けさせたい」という切実な思いは、法律が変わって良かったねという安易な気持ちに冷水を浴びせられる。本書は我々も隠し持つ優生思想と向き合うことを要求している。2019/04/17
ひねもすのたり
16
子供の頃、産婦人科の看板に書いてあった「優生保護法指定医」ってこういう事だったんだと納得。 本書は障碍者に不妊手術を強制していた旧優生保護法のあり方を問う毎日新聞のルポルタージュ。「民族の逆淘汰」などと発想する議員とか、予算執行のためになりふり構わない役人とか・・それらは事実としてあるわけですが、問題の本質はその事実を知って憤っている私たちの心のなかにあるのではないか? 読む前は昭和史の暗部的なものを想像していましたが、思った以上に考えさせられました。 最近読んでないけどやっぱ新聞ってスゴイわ。★4.52019/07/29
チェアー
16
ずさんな判断と手続きで、未来を奪われた人が多数いた。当事者が障害者ゆえに訴えでることもなく、世の中からは忘れ去られたまま。こんなことが戦後の90年代まで続いていたなんて。前後、知らないことだらけで、自分も障害者の未来を奪う側にいるのだと実感する。9歳の子どもが不妊手術なんて、ナチスよりひどくないか。2019/05/16
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