内容説明
戦争責任言われ「つらい」――崩御の2年前、昭和天皇はそう侍従に漏らしていた。
2018年8月に共同通信が故小林忍侍従の日記の存在をスクープして話題になった。昭和天皇を身近で支え、平成への代替わりも見届けた小林氏の日記は、昭和49年から平成12年まで27年間の宮中生活が綴られており、昭和天皇が晩年まで戦争の影を引きずり苦悩する姿や、昭和の終焉に至る状況、宮中から見た代替わりの儀式の様子が詳しく記されていた。
『昭和天皇実録』刊行後に見つかった日記の全容を初めて公開する。巻末に半藤一利氏と保阪正康氏による解説対談を収録。
【目次】
第1章 昭和49年~51年 昭和天皇の涙
第2章 昭和52年~56年 皇后の体調不安
第3章 昭和57年~60年 寛仁親王皇籍離脱騒動
第4章 昭和61年~63年 戦争責任への言及
第5章 昭和64年~平成12年 昭和の終焉、平成へ
解説対談 小林忍日記を読む 半藤一利、保阪正康
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rinrinkimkim
4
うわー24人しか登録されていないです!が本書は多くの付箋を貼る読書となりました。宮中言葉(おしっこ=おじゃじゃ)など使ってみたかったとか御上がやきもちを焼くとか図鑑の間違いを指摘して調べさせるとか。ペタペタ貼りましたよ。さらに日記をつけてた小林氏がブツブツ文句を残しているんです。でも衷心よりお仕えしている姿が生き生きとしているんです。奉公先は御上ただ一人ってかっこいいですよ。昭和大帝は休むことなく崩御あそばされました。実に泣ける1冊でした。これからメモ整理です。2019/08/13
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
4
天皇自身が戦争責任について語った記録ということで、センセーショナルな書物だと捉えられがちかもわからないが、それは内容の一部に過ぎない。天皇が70代を過ぎ、じわじわと衰えていく中で漏らした「弱音」という印象を受けた。この本は、一組の老夫婦の老化の記録だ。天皇は「死ぬまで現役」で、心身の老化が進む中でも一挙手一投足が好奇の目にさらされながら働き続ける任務は残酷だと感じる。明仁天皇が生前退位を選択したことの意味がよく理解できた。 明仁天皇やその家族の言動に対する、辛辣な言葉のメモも印象に残る。2019/05/07