内容説明
頼光四天王筆頭の美中年×名刀「鬼切」に宿る鬼
怪異は「境界」に生じる
鬼神、怨霊、妖物、狐狸猪…平安イケおじヒーローが人外美形とともに鬼を切る!
鬼を切り、時に切らない――不思議な縁によって源頼光より預けられた名刀「鬼切」の使い手にして、才色兼備・文武両道の武闘派貴族・源綱。妻を失い、四十路にして乳母不在に悩みながら一人息子の授を養育中であり、後進に道を譲りたいと思う傍ら平安京を跋扈する鬼たちを、鬼切に憑いた妖艶な鬼・薔薇とともに鎮めている。王朝絵巻の裏で繰り広げられた怪異と人のかかわりを描く、うつくしく匂いやかな伝奇物語。
佳嶋・装画
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
68
頼光四天王の1人渡辺綱と茨木童子の化身のような魂のような美しい薔薇のBL臭漂うバディ物。物語の進め方や文体が平安時代の物語文学風なのが嬉しい。戻り橋やらあれこれ有名な逸話をアレンジしてあって楽しく読めた。作者の『織姫の結婚』もそうだがこのさらっとした描き方は個人的には好きだけれどラノベ的にはもう少しみっちり書き込んだ方が受けるかも、と続編が読みたい読者としては妙なことが気になった。2021/07/22
momi
39
人ならむものを視る力切る力をもつ「綱」鬼をあの世へ送る刀に選ばれし男は薔薇の香りをまとった美貌の鬼と…京にはびこる鬼を切る!!鬼にならざるを得なかったものたちの思いが切ない…。綱と鬼神との出会いもまた切ない…。そして…昔話にもあるように開けるなと言われた箱は開けてはいけません…。約束をやぶって開けると酷い目にあうと言う教訓ですね。ラストは続きそうな終わり方!期待してます♬2019/03/20
空のかなた
27
溢れ出す登場人物達の雅な世界。百鬼夜行、迦陵頻伽、陰陽師安倍晴明に加えて、紫式部が光源氏の参考にしたと言われる源融大臣が高祖父である渡辺源氏綱がこの物語の主人公。彼が携える鬼切りの太刀は、伊勢の大御神直々に下賜されたもの。太刀からは青白い光がほとばしり、龍となり天に駆け上る。薔薇(そうび)と呼ばれる美しき鬼が宿る太刀。薔薇は元は淀川の水神。額に角、長い髪、女とも見間違うほどの美貌が表紙カバーに描かれる。初読みの作家さん。宝物のような平安時代の絵巻物。2022/04/12
すがはら
17
無自覚天然人外(ただし美形に限る)タラシか。平安京の怪異バスターズ頼光四天王の一人、渡辺綱のお話。血筋良くイケメンで腕が立って名声もあり普通ならモテ男なはずなのに何でだろう?な主人公綱の、実はお人好しですぐに騙されそうななところが魅力。妖異に絡まれやすくて生身の女性とは縁遠く、もう美形の守護鬼神がいてくれればいいかなーなんて思ちゃってるかすかなBL風味も押し付け感がないので愉しくニヤニヤできて大満足でした。2019/09/08
マサキ@灯れ松明の火
14
綱さん‥鬼切りとして生きる男は、完全無自覚なあやかしタラシでもあった(笑)しかも、タラサレルあやかしは全て美形(笑)守護神は超絶美形鬼神!陰陽師・安倍晴明さん宅ばりの鬼屋敷に息子と暮らすが、乳母も美形鬼女!……となっては、綱さんが後進に後を任せて引退したくても、無理ですね(笑)だいたい、主・頼光様が歳を経てなお好戦的ですもの(笑)頼光四天王のお仲間も好戦的ですもの(爆)息子・授くんが、跡を取れるまでは引退は無理でしょう(笑)2019/09/09