内容説明
芥川賞・直木賞が発表される日。業界でひそかに注目されているもうひとつの賞「新井賞」があることをご存知でしょうか?新井賞は、書店員の新井さんが個人的に推したいタイトルを選定する賞です。本書は、本屋の新井さんが本屋とあんまり関係ない、本人が書きたいままを綴ったエッセイの第2弾です。「隠れた名作を発掘しません」「拭いてもらいたいのはお尻じゃありません」など、書店員のありのままのエッセイをお楽しみください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
105
裸(ストリップを含めて)の話が多い。それに特段文句があるわけではないが、新井氏の中で「裸」というものがどれほどの意味を持っているのか気になる。人はそれぞれものに執着する。それこそ様々で十人十色とはよく言ったものだ。ちなみに私の敬愛する椎名誠氏のエッセイにはうんち(トイレを含めて)の話が多い。どうでも良い情報ですね。新井氏のモットーは「くそつまんねぇエッセイは発表したくない」だ。それは読者を意識した「くそつまんねぇ」というよりはむしろ自分の価値観に対してのものだろう。決して賢ぶらないが彼女は聡明だ。2020/01/13
pohcho
50
新井賞で有名な、書店員の新井さんのエッセイ。ストリップとかかき氷とか、個性的で面白そうな人。桜木紫乃さんと仲がいいなんて羨ましい。もし同じクラスだったら友人にはならないと思うけど、同じ職場にこんな人がいたらいろんな話が聞けて楽しそう。エレベーターでパンツを脱ぐ話には驚き。以前、宮下さんのエッセイでお風呂に入らないのというのにも驚いたけど。世の中いろんな人がいるんだなーと思う・・。2019/10/02
踊る猫
39
自由過ぎる。奔放過ぎる。エッセイストとしては相変わらずヘタウマな境地を歩んでいる。「巧くなって欲しくないな……」と心配して処女単行本を読んだのは杞憂だったようだ。この著者、相当にクレヴァーと踏んだ。ストリップやヴィジュアル系への偏執、自分自身を厳しく見つめる視線、そしてユーモア。それらは温もりのある、気取りのない筆さばきで綴られる。素材自体はさほど珍奇でもないが(いや、新井見枝香は相当ヘンテコリンな人物だが)、それを巧みに調理する術を身につけている。彼女が見る日常を、そして彼女がどんな本を読むかを知りたい2019/01/25
のんぴ
37
#この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ #NetGalleyJP なんか露悪趣味で誇張してる印象で読んでいたけど、著者が、唐突に悪くなる自分の機嫌に振り回されて困っていたけど、機嫌が悪いときこそ筆が乗る、という言葉はなるほどそうかもと思わされた。「人にぶつかっておいて謝らない人の気持ちも、お礼を言わない人の気持ちも、ふてくされて周囲に気を遣わせる人の気持ちもよくわかるからだ…人は機嫌次第で、押してはいけないボタンぐらい押せてしまうのである(p192)」怖いなぁ。2019/02/11
よっさん
31
何故連続して新井さんの本かというと、彼女の踊り子デビュー2周年だからだ。ストリップ の世界では一ヵ月を3つに分け、頭、中、結と呼ぶ。彼女の周年週は2結だ。タイミングよく2結にホーム劇場に乗れなかったみたいで、周年祝いは3頭に行なうようだ。周年と誕生日は盛大に祝われるのだ。この本で前作同様に日常の些細な出来事を妄想過多気味にぶった斬る新井さん。人は自分に向いている事、心から好きになれる事を探し続ける。見つけられずに悔やむ人もいる。新井さんは本屋、エッセイスト、踊り子といろんな可能性を見つけてしまった。2022/02/26