東大白熱ゼミ 国際政治の授業

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東大白熱ゼミ 国際政治の授業

  • ISBN:9784799324455

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内容説明

テロ、難民、EU離脱、核・ミサイル、北朝鮮……
元外交官・東大教授×現役東大生が
「批判的思考」で世界の最重要課題に挑む!


* * *

◆僕が東大でゼロから国際政治を考える理由――「はじめに」より抜粋

あなたは、この日本がいま、平和だと思うだろうか。
ありきたりな質問だと反射的にページを閉じようとする前に、
少し立ち止まって、次のことを想像してみてほしい。

小さな海を隔てた向こう側にある国では、いくつもの核兵器関連施設が存在し、
今この瞬間にも核兵器の開発が着々と進められている。

74年前に広島・長崎を襲った核爆弾の何倍もの殺傷能力を持つ核ミサイルが、
1発や2発ではなく何十発も、僕らのいる日本列島を含む
世界に向けて発射できる態勢が整えられつつある。

気まぐれな指導者が発射スイッチを押さないという保証はない。

観光客で賑わう別のある国では、3つのグループに分かれた過激派組織が
コンサート・ホールやレストラン、カフェを次々と襲撃。
銃の乱射や自爆によって130人以上が死亡、300人以上が負傷した。

姿の見えない敵は、サイバー世界でも増殖を続けている。
ある国のハッカー集団は、国家の情報機関と関係を持ち、
日本も標的として、官公庁、防衛・ハイテク産業、
通信・交通・エネルギーなどのインフラ部門を攻撃している。

超大国の大統領はこれに対し、核兵器で応戦すると警告する。

さて、あなたはこれを聞いて、背筋が凍るような恐怖を覚えただろうか。
あるいは、不穏な時代の空気に、底知れない不安を感じただろうか。
それとも、お決まりの警句だと、いつものようにうんざりしただけだっただろうか。

もしそうだとしたら、本書はあなたのためにある。

世界の危機を伝えるニュースは毎日のように報じられ、
僕らはいとも簡単に感覚を麻痺させてしまう。
慣れてはいけないと言われても、同じようなことを何回も言われたら
誰だって慣れてしまうものだ。

でも、今この瞬間だけでもいいから、考えてみてほしい。

1930年代、昭和はじめの日本。大きな戦争もなく、
日々穏やかに暮らしていた人々は、数年後に日本が
大国アメリカと無謀な戦争を始めるなどとは思いもよらなかっただろう。
そして、見慣れたいつもの平和な街並みが
絶望的な焼け野原に姿を変えるとは、想像もしなかっただろう。

平和は、失われて初めてその大切さがわかると言う。
裏を返せば、僕らは目の前にある平和が当たり前のもので、
ある日突然失われてしまうなどとは思わずに今を生きているということだ。

しかしあなたは、平和を失ってもいいと思っているだろうか?
明日にも戦争が勃発して、1分先の未来もわからないような人生を送ってもいいと、
本気で思っているだろうか?

ノーと答えたのならば、あなたがやるべきことははっきりしている。
民主主義国家の一国民として、常日頃から世界の動きをフォローし、
平和や安全の問題を考え、外交はどうあるべきか、周りの人々と議論し、
小さくても何か具体的な行動につなげていくことだ。

ただでさえ忙しい毎日。仕事や人生に関係しそうにないことに
時間と労力を割くなんて億劫かもしれない。興味を持てないかもしれない。

それでも、少しでも考えること、「なぜ」と質問することから始めてみてほしい。
今の平和を続けていくためにも。
そして、そんな批判的思考がこれからのあなたの人生にも
きっと役に立つと、僕は信じている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ta_chanko

10
国際社会には「世界政府」など存在せず、大小の「リヴァイアサン」(怪物=国家)がひしめく修羅の世界。基本的には現実主義的な勢力均衡によって秩序が保たれているが、国連や覇権国家が掲げる理想主義的な理念・価値によっても指針が示される。近年、中国の急速な台頭とアメリカの退潮により、勢力均衡が崩れかけている(=トゥキディデスの罠)。従来の理念・価値も揺らぎ、力の論理が表面化してきている。従来の理念・価値も大切にしながら、日本も現実主義的な外交・安全保障を重視していく必要がある。2020/04/05

読書太郎

1
国際政治の入門編として。 政治とは何かから始まり、個人と国家、戦争と平和的外交について、地震で考えるきっかけになりました。 より複雑化する現代の国家間のパワーバランスを完全に理解するのは難しいが、個々人の観点に立って国益とは何かを考え、平和的外交を模索することが重要。 国際政治論に銀の弾丸はないが、理想論だけを語っても仕方がない。現実主義的理想主義な観念が我々には求められるのかもしれないと思いました。 政治家が悪いというのは簡単だけど、個々人がどうすべきかを、多面的な立場で考える必要がありそうです。2022/12/10

高原ロイ

1
★★★☆☆ 僕にとって新しい知見はなかったかな。2020/12/04

Jun

1
「自己保存のために暴力を振るう権利(自然権)を国家に委ねる事で国家だけが暴力を認められ、対内では警察や裁判所、対外では軍が国民の安全を守るというのが主権国家のあり方だ」「米はなぜ銃を失くせないのだろう?警察がカバーしきれない国土の広さと、銃で開拓したという精神的意味がある為である。銃所有率の高いスイスでは、子供の時から十二親しむ教育をし、銃規制法が遥かに厳格」トゥクビル「外交は民主主義より権力者が自由のがうまく機能する。国際政治はまさに権力政治の特徴を強めてる」2020/02/07

マーチャ

0
再読になると流石に整理されてくる。戦勝国の独断や身勝手さが混乱や多くの搾取を産んだ。アメリカこ絶対的なパワーに翳りが見えた今、今までのスタンダードが転換しているのに、政府は10年後20年後のビジョンを示せず対処療法の政策に終始している。国民の1人として未来に希望を持てる国づくりなるよう、考えることを続けていきたい。 良い本ですよね!2022/12/08

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