内容説明
「物理学」が生き物の「形」を決めた!
動物は、効率的移動のため、何をおいても「物理法則」に適応して形を進化させなければならなかった――。
這い、泳ぎ、歩き、飛ぶため、動物はどう形を変えてきたか、その最新研究を紹介。
人間の直立二足歩行のメリットは何か、多くの動物が左右対称である理由、単細胞生物が光の方に進む意外な方法など、生物の動きと形の進化に関する驚きの事実が次々と明らかになる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
85
「人間の直立二足歩行はどのように始まったのか? ひれはいかにして肢(あし)になったか? なぜ多くの動物は左右対称なのか? なぜ植物はかたくなに移動しないのか?」といった素朴だが根源的な疑問に答えようとする書。 本書で一番、ドラマチックな箇所は、以下の点を明らかにしたことにある:(ここはネタバレなので略)2022/08/15
姉勤
39
全ては移動のために。脚も鰭も翼も、そして足も翅も、生物がエネルギーを得るために設計し開発し、動かすソフトをプログラムする。その一連のフィードバックの連環が、進化と呼ばれるものとなる。動物に限らず、動かない植物は精子や種子を移動させ、菌や単細胞生物は鞭毛やポンプをイオンスイッチを動作させる。それは筋肉の働きとも共通する。動きたい、そのモチベーションは何か。脳内麻薬とも呼ばれるドーパミン。肉体を可動させるソーマのような、神の用意した仕業にも例えたいが、神を利用して悪事を為す人間であれば、どちらが主で従か。2024/05/19
Fondsaule
21
★★★★★ 生物は、なぜ今のような形をしているのか? 「生物は偶然による突然変異によって姿形を変え、これまた偶然にもたらされた周囲の環境に適応したものだけが生き残る。変異も適応も偶然に支配されているとすれば、形態の進化には法則性は存在しないのか?」そんなことはない、と著者は言う。翼を持つ生物は、どのようにしてその姿に到達したのか。空を飛ぶのが理にかなっているのなら、なぜ人間は空を飛べないのか。逆に、直立二足歩行を多くの生物が使っていない理由は。とても興味深い。2019/04/03
Ryo
13
進化のランダム性と淘汰圧による選択という方式を考えた時、なぜ世の中の生物はこんなにも似ているのだろうかと思う事がある。本書では、何故こんなにも生物には共通点があるのかという事を紐解いていく。その一つの大きなキーとなるのが、この世に存在している時点で逃れる事の出来ない物理学である。この物理学を通して「生物の移動」にクローズアップして、これまでの進化の過程を遡る。植物や微生物レベルまで掘り下げつつ一本の物語に纏められた進化本はかなり稀有なのではないだろうか。移動という着眼点、網羅する範囲共に素晴らしい一冊。2019/05/06
山のトンネル
7
文庫あり。2024/09/06