内容説明
DNA人類学の第一人者が明らかにした衝撃の事実。従来の「縄文人と弥生人の混血で日本人が生まれた」説が覆される! ロングセラーとなった初版に、革命的新技術「核ゲノム分析」による大幅な進歩の成果を惜しみなく盛り込んで、バージョンアップした完全版刊行。日本列島人の多様なルーツが今、明らかに!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
71
07年版の大改訂。旧版では主にミトコンドリアDNAから日本人の起源を追った。本書では最新の”分子人類学”の成果を踏まえ、Y染色体など核DNAの分析からも人類の起源や拡散の様子を解説。分析技術の進歩による古人骨の核DNA情報が研究に大きく貢献。我々の祖先は僅か6万年前、アフリカを出て世界中に拡散。原人たちは絶滅し我々の祖先ではない。先に日本列島に広がった縄文人の後に、農耕技術を携えた渡来系弥生人が西日本から入って来たという従来の単純な二重構造説をDNAデータは支持せず、古墳時代以降にも流入した可能性も・・。2019/06/07
きみたけ
70
面白かった❗DNAの塩基配列から古代の人類の移動のあとが見えて興奮しました❗著者は国立科学博物館人類研究部長の篠田謙一先生。近年めざましく発展したDNAを分析する技術により、古人骨の遺伝子から直接祖先を辿ることによって、縄文人が先住する日本列島に稲作技術を持つ弥生人が渡来して混血したとする定説を検証した一冊。ミトコンドリアDNAおよびY染色体DNAの塩基パターンによるグルーピングにより、出アフリカした人類の足跡をたどります。またアイヌ・沖縄の縄文人と本土日本の弥生人の混血具合から日本人の祖先を考察します。2023/09/26
さつき
70
この手の本は好きですが、こちらは特にわかりやすく読みやすかったです。古人骨のミトコンドリアDNAや核ゲノム解析により人類の出アフリカの様子や世界に拡散していく時系列もずいぶんわかってきたんですね。縄文人の持つDNAが現代に伝わる割合はそう多くないことは意外でした。弥生人と一口に言っても混血が進み多様なDNAを持つ集団だったことも。そして今、人の移動がこれほど容易になった以上、未来は地域に固有のDNAはどんどん無くなり均質化されていくだろうという見通しには頷くばかり。面白かったです。2023/05/29
たまきら
43
かはくの篠田先生による明快な説明がとにかく素晴らしい。初めて聞く単語ばかりなのに、きちんと教えてもらえるので好奇心のみワクワク増えていく素晴らしい読書タイムでした。よほど楽しそうに読んでいたらしく、娘がのぞき込んで「ハプログループ調べたい!」と一緒に興奮し始めました。私は奄美諸島をはじめ、ちょっと変わった血が混じってるけどミトコンドリアDNAでいうとどこなんだろう…祖母が焼津出身なことは知っているけれど、そこから先は知らないのよね。…クリスマス用に調べてみようかな…?2023/11/14
サトシ@朝練ファイト
25
2007年に出版されたものの改訂版。本作最後の「これからの社会と私たちのDNA」における考え方、姿勢に著者の人間性を見る。「研究が終了する5年後には新たな日本人起源論を提示できる」とのことなので楽しみだなあ。2019/04/20