内容説明
突如、命を狙われた武士とそれを助ける女。男が明かされた自らの素性と軍用金を巡る藩内の権力闘争。大きな渦に巻き込まれた武士は……。表題作にして名作「逃亡記」、南町奉行所を舞台に、左官職人を殺めた罪で投獄された女の取り調べを行うなかで浮かび上がる深川・しじみ河岸に生きる人々の姿を鮮烈に描く「しじみ河岸」など。市井に生きる人々の息づかい、生活、そして生き様を活写した名手の筆が光る江戸ミステリの傑作六篇。
目次
しじみ河岸
改訂御定法
逃亡記
枕を三度たたいた
本所みぞれ河岸
夕靄の中
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
84
山本周五郎の時代ミステリー小説を6篇、選りすぐった短篇集。市井を舞台に、どれも味わいがあって好いです。周五郎小説は、本筋がしっかり考えられているので安定感がありますが、ウィットに富んだ会話、艶っぽいお色気描写もちりばめられて安らぎもあるので面白いです。私的には、幼なじみの男と女どちらもが、伴侶を病死で失い再婚を…。粋で甘い二人の会話に翻弄される…現代風時代小説の【改訂御定法】が好きです。2020/12/04
Syo
24
いいですねぇ2022/10/27
Kira
20
図書館本。ミステリ色のある短編を六篇収録。謎解きのようなものもあればサスペンスもありで、バラエティ豊かだった。他の短編集に入っていればミステリ色に気づかなくても、こうしてミステリ傑作選として編集されると、なるほどと思う。昔は探偵小説と呼ばれていたのね。2024/07/04
ジュール
10
久しぶりの山本周五郎。表題作の「逃亡記」は少し現実離れしたおかしさ。「枕を三度たたいた」秀逸。政争を引き起こさないよう頭が少し狂った風を装った林之介。片方の一派を倒しても新たな争いがおこるだけ。人に蔑まれながらも耐えて偉い。 2022/10/31
tomoka
8
「改訂御定法」の直衛と佳奈の会話がウィットに富んでいて面白かった。2019/04/25