内容説明
由緒ある貴族の家に生まれたマルキ・ド・サド(1740-1814年)は、数々のスキャンダルで入獄と脱獄を繰り返し、人生の三分の一以上を監獄の中で過ごした。フランス革命で釈放されたあと、『ジュスティーヌあるいは美徳の不幸』(1791年)を匿名で刊行して以降、精力的に書かれた作品の中で、本書はそのエッセンスを気軽に味わうことのできる絶好の一冊である。第一人者がついに手がけた究極の文庫版新訳、ここに完成。
目次
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第一の対話
第二の対話
第三の対話
第四の対話
第五の対話
第六の対話
第七にして最後の対話
訳者解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
120
快楽を追求するとはどういうことだろうか。少なくともサドの追求方法は間違っているだろう。挿絵無しには理解できない体位をとって果たして快楽が増すだろうか? 神を冒涜してやりたいと思うがあまり、その手段にとらわれ、彼らの性行為は、行為そのものよりも背徳感からより多くの快楽を得ていると思える。道徳や信心を厳しく両断する彼の論理展開は、それなりにスジが通っているようにみえるが、彼自身の根拠もまた虚しい。刑務所暮らしの長さも、妄想が刺激される一因だったろうか。所詮、悪魔の高笑い如きもの。2019/07/13
Freak Zappa(アレクセイカラマーゾフという名で音楽活動してたよ)
5
澁澤龍彦版読了■ニーチェを先取りしたかのような『自然回帰』『アンチクライスト』論■殺人の肯定だけは抵抗感あるけど、鋭利で理論的な正論で、社会に蔓延している正しいと思われている思想をぶった切っていく…■これの極解がナチス、池田○殺人事件、障害者殺人事件とかに繋がってしまうので、心がない人間には読ませたくない本ではある…■そしてフェミニズム運動の先取りでもある…?2024/10/28
刳森伸一
5
作者不詳のリベルタン文学『女哲学者テレーズ』に対抗して書かれたであろうサドの後年の作品。放埓な性行為を描くパートと、その哲学的裏付け(というか屁理屈)を開陳するパートとが交互に描かれる。性行為パートはところどころ笑ってしまうくらいには面白いが、他のサドの作品と同様に冗長で途中であきる。哲学パートは、要するにキリスト教的価値観や道徳心などは「自然」に反する行為であり、それらと反対の行為を取ることが人間にとってのあるべき姿であるというもの。こちらも冗長で疲れてしまう。2021/01/27
月と星
5
★★★★演劇形式で独特の哲学的議論が続く。挿絵で理解した体位もあり,笑うしかない。2019/06/06
毒モナカジャンボ
3
神(と付随する道徳、慣習)を追放した理性の極限が顕現している(啓蒙の弁証法)。無神論、唯物論、自由主義、快楽主義、反-家父長制、反-人間主義、「自然と一致して生きよ」の苛烈な再考。現代のAVにみられる身体の使い方がほとんど出てくる(ないのは身体拘束くらいか)ので極めるのが早すぎると思う。ネオダーウィニズム右派と相性が良さそうですね。惜しいのは瀆神の絶叫を快楽の為に使うところ。基本的には神を無視して身体の唯物的快楽を徹底するのだが、ここでは快楽のために冒瀆すべき神を要請するという転倒が否定しきれていない。2019/09/14
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