内容説明
雪が降っている。スケートリンクを整備する人がいる。エンジンのかからない車がある。吹雪の中で信号機が光る。やがて曇り空しか見えなくなる……故郷で暮らした時間より、出てからの方がずっと長いというのに、思い出すのは北海道東部「道東」の、冬にはマイナス20度以下になる、氷点下の世界で過ごした日々のこと。センチメンタルエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
129
北海道はオホーツク出身の作者さんの見事?な道民のためのエッセイです。とにかく最初から最後まで北海道感がハンパなく、北見、美幌、女満別など馴染みのある地名がどんどん出て来て、せきしろさんの世界観に割り込むようにグイグイ読んでしまいました。道東を舞台に描かれている'あるある'なネタに、思わずこちらも「うんうん」と頷いてしまったり、作者さんの若い頃の淡い想い出にちょっと胸がしめつけられたりと、すっかり虜になってしまいました。こんなステキな文化人が我らが北海道にいらっしゃったとは恥ずかしながら、知りませんでした。2019/06/15
おさむ
40
同世代で、同じ北海道育ち(道南と道東とやや違いはあるが)の著者の思い出がたり。あるあるを連発しながら、読み進めるうちに、恥ずかしさとともに過去の自分を思い出します。ナイーブさや純真さ、残酷さ全てが若かかったといえばそれまでだけれど、今もなお心の奥底に沈殿しているのは何故なんだろうとも思ってしまう。せきしろさんは初でしたが、1行詩と短文の組み合わせがなんだか音楽みたいで面白いですね。文章のトーンや言葉のチョイスのセンスは同世代の燃え殻さんを思い出しました。西加奈子さんの解説が秀逸です。2019/06/30
おいしゃん
31
思った以上に良かった。 道東を舞台にしたセンチメンタルな詩&短文集だが、モノクロの荒涼とした風景に、淡い色付けをするような言葉たちで、読んでいて優しい気持ちになれる。2020/09/27
ちぇけら
23
花壇でマガジンが第2の人生。スマホスマホせきしろスマホスマホスマホスマホの夕方の電車は発車した。記憶の底によどんだ断片を取り出そうとしても、できなかった。たくさんつらかったし、たくさんたのしかった、はずなのに。せきしろさんの語る記憶や思い出が、ぼくにとっても懐かしくて、大切だった。ぼくにはなにもない、と思うときがある。花壇に捨てられて雨でよれている週刊少年マガジンような、そんな不安な心もちの日は特に。傷んだこころにせきしろさんの文章はおおらかで優しい。思い出せなくても、ぼくにも確かに昔はあったのだ。2019/07/26
いおい 1 あと53日で●キロ痩せる
21
「シチューのCMに見入る」が、ああそうなのかと一気に気持ちが食い込んで来る。高校卒業までの思い出の話ですべて、私が知りもしない北海道のことだが、それを読みながら私も自分の思い出をたどっている。雪景色の経験はあるが、小学校のグラウンドで遭難しそうなほどのは知らない。私の風景はれんげ畑だ。雪で見えなくなる太陽は知らないが、美しい月が突然雲に隠れて方角がわからなくなるのはあった。私が全然知らない北海道を書きながら私がよく知るある場所を思い出しながら読む。子供時代はいつでもどこでも共通しているのかも知れない。2025/08/06




