内容説明
生き返った。それも俺(魔王)を殺した憎き少女の死の直前に。
死に際に俺がかけた呪いが勇者を殺すまであと三十日。死の恐怖を前に無様にあがく彼女の姿を、高みの見物といこうじゃないか。
そうして、勇者の暮らすカミゴ村にたどり着いた俺は
――牢に直行することとなった。
いやいやいや! なぜこうなった!?
新任神父と間違われ、なんとか牢を出た俺を待ち受けていたのは、子供達とおくる教会生活。魔王を嫌う村人のため神父として東奔西走。あげく、噂を聞きつけた勇者が嫁入り志願してきて――。
どうなる、俺の復讐!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中性色
18
言わぬが花。こういう復讐を話の筋の一つとして利用する作品なら、対象である相手との話を中心に据えておとすべきだと決着はともかくとしてそう思うのだけど、そういう点ではどっちつかずになってしまった感。とりあえずといえばうたい文句から比べるとよくも悪くもしっかりとした話といった感じなので、それをどう受け止めるかなのかな。個人的にはナッツが好み2019/04/17
真白優樹
13
自身を殺した女勇者の呪いによる死の間際に復活した魔王の少年が、勇者の暮らす村で何故か神父として奔走する物語。―――人とは違う、だから分かる、お互いの事。 魔王としてではなく人として見つめる、勇者の事。魔王と知らず見つめる魔王の事。 人とは違う、故に分かり合えぬ孤独とすれ違いを根底に秘めて、喜劇で味付けしたこの物語。前半のどこか穏やかでほのぼのとした空気と、後半になるに連れ深まる重くて苦しい空気が、心に残る味を伝えてくる物語である。追い込まれながらも掴んだ始まり、その行方とは。 次巻も須らく期待である。2019/04/12
nawade
6
★★★☆☆ 勇者に討伐されるも死の呪いをかけた魔王が復活。勇者の死に様を確認するために神父に勘違いされたまま接近するなりすましコメディ。タイトルからラブコメかと思っていたが、女勇者が自分を道具として認識していたこともあり、艶っぽさも甘酢っぽさは一欠片もないコメディに振り切った作風だった。コメディに偏ったせいか威厳のない魔王になっちゃってるけど、いいのだろうか?コメディといえ、魔力持ちの無形憑きと魔力を持たない正常人の時には虐げ、時には虐げられる対立という背景があって、話が進むにつれシリアスさが目立ちだす。2019/04/10
sion
5
勇者、嫁になってないよね?復讐の為に呪いをかけるも肝心の勇者が生きる事に絶望とは違うけど死に絶望すらしない殆ど擦り切れていた。 ニココに傀儡だったのは魔王も一緒で。死、生、出会い、永遠の別れとコメディと思っていたらシリアスも多かった。もう少し振り切れても良かったと思う。2019/04/25
リク@ぼっち党員
4
タイトルに反してかなり真面目な作品。特殊な力を持って生まれてしまったゆえに魔王になった少年と、力を持ったために勇者にされた少女。本人がどうかは関係ない。『普通』とは違うという理由だけで憎み、迫害する。それが世代を超えて受け継がれ、憎しみの連鎖となる。けどそれは知らないだけで、接していくうちに内心が変わっていくのが救いがあってよかった。魔王の選択が後の世界に一石を投じることになるか。2019/04/10