講談社文庫<br> 恋に散りぬ

個数:1
紙書籍版価格
¥534
  • 電子書籍
  • Reader

講談社文庫
恋に散りぬ

  • 著者名:安西篤子【著】
  • 価格 ¥715(本体¥650)
  • 講談社(2019/04発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062636063

ファイル: /

内容説明

軽輩武家の貧しさの中で、幼い後継ぎの養育に辛酸を嘗めた賢夫人が、気立てのよい嫁の離縁を当主に強要する不可解を描いた「紅梅」、家格の低い家から嫁いだ女の、絶え間ない気苦労と夫への不信に揺れる哀切を描く「菖蒲」……など、四季の花の風情に擬えて、命の瀬戸際に愛をつらぬく、凛とした武家の女たちを描く、傑作短編集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やま

66
下級武家の若妻の愛の歓びと苦悩を描く。江戸時代の武家の夫婦の在り方をテーマとして、題名に植物の名を冠した連作短編です。武家社会特有のさまざまな制約がもたらす不条理というべき束縛の中で生きる男と女の、抑圧されてもなお奔出してやまない情念や肉声を多様な設定のもとに描き出しています。しかも、題名に冠した植物に主人公やその周囲の人物の心情が象徴されているところが、大きな特色となっています。下級武士のさまざまなカップルが登場してきますが、武家の若妻の愛の歓びと苦悩が軸となっています。→2023/02/17

青豆

7
堅苦しい武家社会の中に生きる女たちの凛とした美しさを四季の花の風情と合わせて描いた短編集。儚い恋や愛に身を捧げた女性たちの姿は美しいが、その結末は余りにも切なくやるせない。しかしこれが現在を舞台にしていればただのメロドラマにしかならない。時代小説ならではの哀愁がある作品。2014/08/10

山内正

4
先代藩主夫人の見舞いの使者へ一月江戸への帰り帰宅途中 途中から妻の手紙が届かぬと思いながら お役目ご苦労様と母親が出迎えた ちと子細あって里に帰らせましたと 落度がと並べ立てたがどれとて離別するに当たらない事ばかり 思い余り組頭へ話すと知ってたかの様な返事が返り 母親が正しいと 捌けた上司と思ってたが古い人間と 暫くし母親の様子が変わった 若い頃大沢と朋輩が母親が好きだと 話すと笑わず不審に思った 組頭の仕組んだ話で大沢と母親が 祝言挙げる事になり 実家にいた妻が戻った 若い二人に刺激されたと母が言った2021/01/20

山内正

3
久方の叔母の姿が小さく見えた 年を越すため金が入用で仕立物を 姑の薬代娘の嫁入と借金で家計が乏しく 夫は阿部様へと返事をした 明日にでも命がと舅がいる筈と 屋敷も広く女中下男に用人までいて 毎日することも無く暮らす 以前祖母が嫁は庭から貰えと話す声を聞き気を重くした 下に見られていたと 一年程夫の外出が増えた何処かは 聞けずに 江戸へ付き従う話が 茶会に招かれ女が七人集り 旦那の悪口に夫を寺近くで見かけた と興味深く言い合う 月が変わり藩の跡継ぎが決まったと夫が いちが夫が外に女がいると 思った外出は2021/07/01

山内正

2
小肥りで貫禄のあった叔母が小さく老けて見えた気がした 夫が阿部様と言った積りが 阿部様は今隠居様が病状悪くと言われ返事が出来ない 死んだ大姑が嫁は庭から貰えと聞えて気を引締めた 七年経った今家政を取仕切る 若殿は病弱、腹違い虎次郎に殿は高齢と話を耳に 半月し茶会に呼ばれ他家の女から 囲い女や不安話を焚付られた 堪らす寺に行くが何処をと立止まる 夫の登城の裃を出しながら お前に疑われたは応えたぞと 行って参る 道草は喰わずに戻る2020/03/20

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/126231
  • ご注意事項

最近チェックした商品