内容説明
出雲藩の木実方添奉行(このみかたそえぶぎょう)・梅沢作之丞が惨殺された。特産物の生蝋の専売役で内福を噂され、茶屋女・お鯉の身請話を決めた直後のことであった。藩の詮議に、年若い妻・寿恵と若党・弥八は、互いに庇いあって……。体面を重んじながら、困苦に耐える微禄の武家の暮らしと、封建制に抗した男女の愛情を描く、名作短編集。体面にしめつけられても、燃え上がる不義の愛!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青豆
9
武家の夫婦のあり方を四季の花例えて描いた短編集。以前読んだ「恋に散りぬ」では武家の女性達の悲哀が描かれていたが今回は武家社会の夫婦の悲哀が描かれており、建前を重んじる武家社会の不条理が夫婦の関係を歪めていく様が何とも哀しい。2014/09/13
山内正
5
跡継ぎにと入った伝次郎 屋敷は広く家族は多い 孫右衛門とは昔からの 打ち明ける 妻は一切世話はしないと 奉公の美津に手を付け子が産まれ 跡継ぎと義父が認めた 妻は子が出来ない 希薄な女だと 一人で何時も身支度すると 今日も帰宅するや妻が娘の縁談が断られあなたのせいだと声高に言う 庭の糸瓜の世話もしたくない 急なご用だと共に支度をと先に帰す 妻は義父の世話だったと返事を 美津は子の世話をと言い訳に 一人やり掛ける、義父が心配顔で部屋にきた 何をすれば支度か整うのか急がねばならぬ、叱責の声が響く、早くせねば 2021/04/29
山内正
4
暗い部屋に、おしのと声を呑み込んだ 娘千津がいた 叔父様はと立上り首を傾げ髪に手を、生きていた時の仕草だ お峯と乳母を雇い千津の面倒を 見させていた 母上の看病ぶりは今も語り草に 並大抵では無かったと お峯から母上の遺言を聞きました 太兵衛は妻を愛おしく思った事など無かった 奉公人のゆきと生きてたうちから抱いていた あの晩の呻く声に部屋に入る 血の海の中を這いずり近寄る妻を 振り放した 医者も呼ばずに 死ぬのを待っていた、夫をどの様にみてたのか お忘れですか母上が好んで着てた 着物と言う姿がおしのとしか2021/10/17
山内正
3
姑の帰りに気付くのが遅れ部屋から出た 義母に望まれ見栄えしない滝を 娶る気になったのか 武術も強く快活で人付き合いも良く仲間も多い夫に 病弱の姑と出戻りの妹が原因かと 今年の夏から様子が変わり 漠然とした不安が やがて外に女がいると告げ、跡継ぎとなる子が 出来たと 何時かこんな時が来ると思ってはいたが どんな女だろうか? 祝の客が帰り側の女におせんと呼んだ 姑は知っていたのか 今夜から一つ屋根の下で暮せるものか 左兵衛様と襖越しに、 現れた腹に刃物を突き刺した 2022/11/04
山内正
3
仄暗い部屋に向こう向きに座る 姿におしのと出掛かった声を飲み込んだ 娘の千津だった 一体何時から母に似て来たのか 妻しのは病勝ちな痩せて寂しけな顔をしていた、三年寝こみ世を去った 乳母を雇い千津を育てた 縁談話を二人でしてしまおうと 千津は進めて欲しいと返事した とと様の母の気配りは並大抵ではなかったと親戚から聞くと 太兵衛はそれ程慈しんだ気はなく 病気になってから心が離れて行った 妾変わりの女中と部屋にいるのを見られた事もある 廊下で唸る声に障子を開け 血に染まる妻がしがみつく 自害出来ずに2022/07/02
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