内容説明
イネを植えるのに,なぜ田植えって言うんだろう? 田んぼの生き物を数えてみたら,5700種もいることがわかった.田んぼはイネを育てるだけでなく,多くの生き物を育てているようだ.環境稲作を提唱してきた著者が,生産者減少や食料自給などの問題を考えながら,「農」が本来もっている価値を一つ一つ拾いあげていく.
目次
目 次
はじめに
1章 私の田んぼの四季と仕事
2章 子どもたちの発見
3章 田んぼの生きもの調査
4章 自給するのは食べものだけじゃない
5章 農の価値を考えてみよう
6章 「日本農業」という見方
7章 農は過去と未来をつなぐ
8章 風景をとらえてみよう
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sakie
17
日本農業新聞のコラム執筆者。自らを"百姓"の代弁者と位置付ける。なるほど、農家があまりに当たり前と思って口に出さないことが、非農家の私にとっては未知であること、それ故に体感も考え方も違うという事実をお互いに知らないのだと知った。そして「自給」について。「買った方が安い」あるいは自分でつくれない種類の道具を必要と考えると、人は購入に依存した暮らし方へ移行してしまう。いろいろなものを自分でつくり工夫する生活をやめてしまう。農家でなくてもそうだ。やせ我慢でなく「効率を上げる道具」を否む生活をも、私たちは選べる。2023/06/22
ふぇるけん
13
田植えはなぜ「稲植え」ではないのか。田んぼがつくるものは稲だけではなく、さまざまな生きものたちの織りなす自然を形成している。効率や経済的価値だけを追求することを求める現代農業への警鐘。虫見板を使えば稲にどのくらいの害虫や益虫がついているかがわかり、無用な農薬の使用をさけることができる。耕地整理のやりすぎや機械農業の問題点などはある程度納得感があるのだが、それらの合理化をすべて否定するというのは少しノスタルジックに過ぎるのでは、という印象も受けた。2019/05/20
紅花
12
田んぼが作るのは米だけでは無い。米が沢山作ることだけを求めては、自然とのバランスを崩す。分かっているようで分かっていなかったと改めて思った。確かに食料は豊富の方が良いけれど、目先の豊かさの為に、失っている物も沢山ある。そろそろ大量消費の考えを見直すべきなのかも知れない。2017/12/03
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
4
【ココロの琴線に触れたコトバ】私たちが現在使用している「自給」とは、決して「自給自足」のことではありません。手段や資材は自給しなくても、結果として生産される食べ物だけを自給していると表現しているのです。その典型が「食糧自給率」なのです。しかし、そういう手段や資材の自給を捨てないと、農業は近代化できずに「進歩・発展」もできなかったのです。2015/09/11
KiKi
3
農業立村に住んでいると否応なく「農業」という産業についてあれこれ考えることが多くなります。 でもね、正直なところ落ちこぼれながら会計人だった KiKi のいわゆるビジネス・センスとかビジネス哲学と農業ってどうしても相容れないことが多いような気がするんですよね~。 要するに都市部の、ひいては現代社会では当たり前になっているある種の尺度では測れないことが凝縮されて成立しているのが農業という産業のような気がして、いえ、そもそも産業という捉え方をして「工業」とか「商業」と並立させる発想で俯瞰しちゃいけないのが2011/09/16
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