岩波新書<br> 人類哲学序説

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岩波新書
人類哲学序説

  • 著者名:梅原猛
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 岩波書店(2019/04発売)
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  • ISBN:9784004314226

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内容説明

日本には「草木国土悉皆成仏」という偉大な思想がある――.原発事故という文明災を経て,私たちは何を自省すべきか.デカルト,カント,ニーチェらを俎上に近代合理主義が見落としてきたもの,人間中心主義が忘れてきたものを検証し,持続可能な未来への新たな可能性を日本の歴史のなかに見出す.ここに,新たな「人類哲学」が誕生する.

目次

目  次

 第一章 なぜいま、人類哲学か
   哲学とは「人間はどう生きるべきか」を自分の言葉で語るもの/原点となった戦争体験/禅でいいのか──西田幾多郎と鈴木大拙/近代西洋を問う/天台本覚思想との出会い/風土と思想/日本の古層、縄文文化/アイヌ文化の思想/アイヌ語と日本語/ 「魂」の再生を願う/死の概念/今も息づくアニミズム
 第二章 デカルト省察
   なぜ、デカルトか/ 『方法序説』の誕生/第一~第四の方法──学問の方法/ 「梅原日本学」はデカルト流/生きるための法則/ 「疑う」ことの難しさ/ 「われ」とは何か/機械論的発想の功罪/デカルト哲学省察/時代の制約/肉体なき精神は可能か/人間が征服する自然/デカルトを超えて
 第三章 ニーチェ及びハイデッガー哲学への省察
  1 ニーチェ
   ニーチェの生涯/ 「血でもって書け」/ 〈ラクダ〉の時代、〈獅子〉の時代、〈子ども〉の時代/傑作『ツァラトゥストラかく語りき』/ルサンチマンが動かす歴史/神が死に、超人が生まれる/ 「永劫回帰」とは/私的経験としての「永劫回帰」/ニーチェ批判/超人とは誰か/若気の至り
  2 ハイデッガー
   二〇世紀最大の哲学者/ハイデッガーの生涯/実存哲学/ 『存在と時間』と『森の小径』/ 「ザインの哲学」とは/幻想への志向/言葉を持つのは人間だけか/ 「存在」は普遍の真理か/ニーチェとハイデッガーが見なかったもの
 第四章 ヘブライズムとヘレニズムの呪縛を超えて
   ヨーロッパ文明の父と母/ヘブライズムと近代/ギリシャ神話を読み解く/海洋国家ギリシャ/軍事国家としてのギリシャ/自由民の余暇から生まれた学問/ソクラテスの哲学/プラトンの言葉か、ソクラテスの言葉か/ソクラテスとプラトンが人間中心主義の祖/なぜ、太陽信仰がないのか/源流としてのエジプト文明/太陽崇拝のなごり「おてんとう様」/長江文明という源流/太陽崇拝の系譜/近代合理性の限界
 第五章 森の思想
   草木国土悉皆成仏/水を守るもの/森の都/鎮守の森に守られて/宮沢賢治の思想/熊と人と──霊の交歓/伊藤若冲の世界/流転する森とあの世観/二種回向と悪人正機/森の征服──ヨーロッパ/自利と利他/西洋哲学から、人類哲学へ
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

27
3.11による原発事故の反省から、科学技術文明だけを全面的に肯定した思想だけで人類は存続できるのかという問題意識を持ち、縄文の基層に外来の仏教が影響を受けた結果生まれた思想である「草木国土悉皆成仏」を提唱する。本書だけを読むのであれば、単なる文化論に終わります。西洋哲学の章は良く読めて、東洋哲学の章は引っ掛かるところが無かったという感想は、他者に出会っていないので勿体ない。西洋哲学と東洋哲学の統合を目指す思索の奥深さに気付けば、本書には数々のヒントがあり、派生的に読書を進めるにはうってつけの本です。2020/04/02

yamahiko

23
難しいことを平易な文章語ることのできる達人の書です。するりと読めてしまうため、うっかり読んでいると、著者の論を軽んじてしまったり、あるいは、何も印象に残らないということになりかねない危険を孕む一冊だとかんじました。2018/01/31

魚京童!

21
近代西洋文化の父文明・母文明は、ギリシャ文明とユダヤ文明である2014/09/30

呼戯人

19
先ごろ亡くなった梅原猛の晩年の著書。仏教に基づく日本思想を普遍性のレベルにまで高め、人類の危機に対処する哲学を構築するという野心的な試み。草木国土悉皆成仏という天台密教の教えを基礎として、デカルト、ニーチェ、ハイデッガーなどと対決して、哲学の新しい水準に立とうする梅原の根源的批判の試み。人間中心主義から抜け出られない西洋哲学の旧弊を突破し、狩猟採集文化の結晶としての「草木国土悉皆成仏」の思想を西洋近代を乗り越えるものとして洗練させようとしている。87歳でこれだけの稀有壮大な大志を抱けるとは並の人ではない。2019/03/10

Bartleby

14
デカルト、ニーチェ、ハイデッガーなどから西洋哲学の問題点を探り、「草木国土悉皆成仏」や太陽信仰などの東洋的な発想によってそれを乗り越えようとすることが試みられている。草木国土悉皆成仏については面白いけれど論理より共感に訴える感じになってしまっていると思う。ただまだこれは序説で、これから新しい哲学を語ろうとする意気込みはすごいと思う。2013/05/28

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