内容説明
日本には「草木国土悉皆成仏」という偉大な思想がある――.原発事故という文明災を経て,私たちは何を自省すべきか.デカルト,カント,ニーチェらを俎上に近代合理主義が見落としてきたもの,人間中心主義が忘れてきたものを検証し,持続可能な未来への新たな可能性を日本の歴史のなかに見出す.ここに,新たな「人類哲学」が誕生する.
目次
目 次
第一章 なぜいま、人類哲学か
哲学とは「人間はどう生きるべきか」を自分の言葉で語るもの/原点となった戦争体験/禅でいいのか──西田幾多郎と鈴木大拙/近代西洋を問う/天台本覚思想との出会い/風土と思想/日本の古層、縄文文化/アイヌ文化の思想/アイヌ語と日本語/ 「魂」の再生を願う/死の概念/今も息づくアニミズム
第二章 デカルト省察
なぜ、デカルトか/ 『方法序説』の誕生/第一~第四の方法──学問の方法/ 「梅原日本学」はデカルト流/生きるための法則/ 「疑う」ことの難しさ/ 「われ」とは何か/機械論的発想の功罪/デカルト哲学省察/時代の制約/肉体なき精神は可能か/人間が征服する自然/デカルトを超えて
第三章 ニーチェ及びハイデッガー哲学への省察
1 ニーチェ
ニーチェの生涯/ 「血でもって書け」/ 〈ラクダ〉の時代、〈獅子〉の時代、〈子ども〉の時代/傑作『ツァラトゥストラかく語りき』/ルサンチマンが動かす歴史/神が死に、超人が生まれる/ 「永劫回帰」とは/私的経験としての「永劫回帰」/ニーチェ批判/超人とは誰か/若気の至り
2 ハイデッガー
二〇世紀最大の哲学者/ハイデッガーの生涯/実存哲学/ 『存在と時間』と『森の小径』/ 「ザインの哲学」とは/幻想への志向/言葉を持つのは人間だけか/ 「存在」は普遍の真理か/ニーチェとハイデッガーが見なかったもの
第四章 ヘブライズムとヘレニズムの呪縛を超えて
ヨーロッパ文明の父と母/ヘブライズムと近代/ギリシャ神話を読み解く/海洋国家ギリシャ/軍事国家としてのギリシャ/自由民の余暇から生まれた学問/ソクラテスの哲学/プラトンの言葉か、ソクラテスの言葉か/ソクラテスとプラトンが人間中心主義の祖/なぜ、太陽信仰がないのか/源流としてのエジプト文明/太陽崇拝のなごり「おてんとう様」/長江文明という源流/太陽崇拝の系譜/近代合理性の限界
第五章 森の思想
草木国土悉皆成仏/水を守るもの/森の都/鎮守の森に守られて/宮沢賢治の思想/熊と人と──霊の交歓/伊藤若冲の世界/流転する森とあの世観/二種回向と悪人正機/森の征服──ヨーロッパ/自利と利他/西洋哲学から、人類哲学へ
あとがき
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