内容説明
「古代から現代にいたる神話と歴史を、ひとつの夢の環にとじこめるように描く。場所は大きい森のなかの村だが、そこは国家でもあり、それを超えて小宇宙でもある。創造者であり破壊者である巨人が、あらゆる局面に立ちあっている。語り手がそれを妹に書く手紙の、語りの情熱のみをリアリティーの保障とする。僕はそういう方法的な意図からはじめたが、しかしもっと懐かしい小説になったと思う(著者・『同時代ゲーム』)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
35
三度目の挑戦も読了ならず。 『M/Tと森のフシギの物語』に至っては、一ページも読んでいない。 ◯「同時代ゲーム」: 苦手な作品だ。 たしか、昔読んだような気がしていたのだが、何一つ覚えていなかった。 きっと、読まずに処分してしまったのかも知れない。 前回、前々回と途中で読めなくなって、二度とも図書館に返却してしまったので、前に読んだ部分の細部や、引用しようと思っていた文章などは分からなくなってしまった。/ 大きな鍋の中に、近親相姦、村=国家=小宇宙、神話、蜂起などの具を手当たり次第に放り込んで、➡︎2025/05/21
ぐうぐう
23
「同系列の作品群を年代順に収録する」という本全集の編集原則に反する形で今巻はある。1979年に刊行された『同時代ゲーム』の前に1986年刊行の『M/Tと森のフシギの物語』が配置されているのだ。その意図はズバリ、それほどに『同時代ゲーム』が厄介な小説である証だろう。そのことに大江健三郎自身も自覚的であり、『同時代ゲーム』の反省(?)から生まれた『M/Tと森のフシギの物語』は、『同時代ゲーム』の簡略化を狙った作品であり、それをまず読むことで『同時代ゲーム』という高い頂に挑みやすくなる、というわけだ。(つづく)2025/05/07
かふ
19
『同時代ゲーム』は別に書いたので今回は『M/Tと森のフシギの物語』の感想。Mはmatrianrch(女族長)の意でTはtrickster(トリックスター)の意。『同時代ゲーム』より整理されてはいるのだろうが、登場人物の特異さもあって物語は複雑だ。フォークナーの息子たちというように、サーガとしての物語(マジックリアリズム)。そして一冊の本の中で閉じられる話でもなく、胞子のように種をばらまくのだ。それが日本だけではなく世界文学として認められたからノーベル文学賞を受賞したのだろう。2023/06/02
ブルーツ・リー
5
「同時代ゲーム」とそのリライトと呼べる「M/Tと森のフシギの物語」の2作品が載っている巻。 同時代ゲームに関しては、当時から失敗作との話も出ていたようで、読みづらい。水ぶくれしたように、ただただ、長い。 一方の「森のフシギ」に関しては、非常に読める。 大江健三郎程の作家になっても、リライトをすると、ここまで作品が良くなるのかというくらい、見違えるような出来。 特に中間の神話を挟んでの、前後半部分に当たる、フィクションの部分が、全く出来が違う。 思想性をそのままに、「読める」作品にリライトされていた。2022/03/01
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