内容説明
急速に監視化を進める現代社会。
GPS や生体認証などの技術の急速な広がりは、従来のような政府の統制や隣組による相互監視とは異なる様式の監視が社会的に受容され、日常の風景の一部になりつつあることを示している。そのなかでも特に日常化したものの代表例が「監視カメラ」である。
なぜ監視カメラの急速な拡大が生じたのか。誰がその設置活動を担ったのか。
日本社会の監視化の実態を鋭く捉え直す力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃる
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2000年代まで全国で拡大し、その後一旦の沈静のち2010年代後半に再び拡大する監視カメラ日本市場。その背景を、1950年代から現在までの監視カメラの歴史、監視社会研究・批判の蓄積といった時間軸での総括とともに、地域における監視カメラ導入プロセスの聞き取りから明らかにする。よく想像するような国家権力による監視を主軸としていないところが面白い。エヴァンス=プリチャードによるザンデ毒卜占研究を引用してコミュニティの動機づけを語っていたことを特筆する。著者は松田素二氏から指導を受けたとのこと。2023/12/09