内容説明
極北の冷たい海に囲まれた隔絶の地、トゥーレに5頭のホッキョクギツネが生まれた。やがて子ギツネ達は自分で狩りをするようになるが、ソルだけはどうしても狩りができなかった。「ボクのために何かを新たに殺すのはダメなんだよ」そういってソルが食べるのは既に死んでいる生き物ばかり。ホッキョクギツネは生まれて約3カ月で親離れをする。はたしてソルは極北の冬という長い試練を耐え抜き、トゥーレの地で生きて行けるのか。「生きるってことは、食うってこった」――雄大な自然と命のつながりを、極北の島に住む生き物たちの目線で描いたファンタジー小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
doji
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生物学と生態系についての図鑑的な解説とものがたりを並列する本としてユニークな読書体験だった。殺傷を避けるホッキョクギツネが迎えるラストとしてどこか悲劇的なものを想像してはいたのだけれど、人間の記憶なのか輪廻転生なのか、不思議な描写が突如訪れる幕切れが印象に残る。2024/10/23
