内容説明
孤独な青春時代、唯一の気晴らしは落語だった。中学卒業を機に、風月亭鏡生に師事することを決め、和歌山の漁港の町から単身、上京した瞬。
鏡介という芸名を得、鏡生の内弟子として住み込みで前座修業に励み、青春をただひたすら、落語に捧げる。
修業のきびしさに堪えられず去って行く兄弟子、師匠のお嬢さんへのほのかな恋心、きびしい規律をもとめられる保守的な芸の世界への反発や、自身の才能の壁との葛藤……。
やがてテレビ業界から声がかかって浮わついた鏡介に、師匠は非情にも破門を言い渡す。
すさんだ心のまま、海外を彷徨うものの最後に辿りつく心のよりどころは、やはりいつでも落語だった――。
芸事の厳しさと、いつの世も変わらぬ人間の情。さすらいの噺家の“業”を描ききった型破りな青春落語小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nazolove
19
また違った、落語家の生きざまをみられた。 要所でこれ師匠ディスり?と思ってしまった。(名誉司会をディスるのもいかがなものかなんて思うが) 別作品で前座なにやってんのというのが良く分からなかったところもあったが、読めば読むほど、落語家になろうなんて思わなくてよかったーと思ってしまった(笑)(現役の皆さんすみません) でもこれだけの人生歩んでるなら、それすらも笑い話に出来るっていうことが落語家の強みなのかななんて思った。 勉強になることが書いてあったので思わずメモってしまった。(笑)2019/04/26
凸凹パレード
8
落語界を覗く小説。でも志ん生知っちゃってると…2019/06/17
みっふぃー
7
桂歌丸師匠の弟子が書いた小説。落語家さんのエッセーみたいなのは読んだことあるけど、小説は初めてで、でもついつい師匠のところは、歌丸師匠が思い浮かんでしまった。最後はいろんなことがおこっておもしろかった。2019/05/14
浅西マサ
3
著者の寄席に行った事がありまして、その時少し話をさせてもらったのですが、とにかく尖っているなて印象の方で(流石元パンクス)ただ、それと同時に毎日遠征を労る声に「ゆっくりちゃんと文を書きたい」と言ってて、その言葉がずっと残って、今作を読みました。登場する咄家さん達がとにかくキャラがたっていて、その中では主人公のキャラが弱いなと思ったところでの最後のどんでん返し?でフィクションの面白さを堪能しました。全て府に落ちた伏線の回収が見事でした。そして人情で〆ずに、まるでフェリーニの映画のようなラストが爽快でした。2019/06/24
OMO
0
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2020/09/19