内容説明
今、最も注目すべき国際政治学者ミアシャイマーの主著。
原著オリジナル版に書き下ろし「日本語版に寄せて」を加え、
2014年改訂版ヴァージョンの最終章「中国は平和的に台頭できるか?」も収載。
訳者奥山真司による解説も充実。
米中の衝突を確実視し、世界各国の外交戦略を揺るがす、“攻撃的現実主義(オフェンシヴ・リアリズム)”とは!?
過去200年間の世界史的事実の検証から、きわめて明晰、冷徹、論理的に国際システムの構造を分析、北東アジアの危機と日本の運命も的確に予測する。
ミアシャイマーによる北東アジアの将来の見通しはあまり華やかなものではなく、むしろ彼自身が認めているように「悲劇的」なのだ。そしてこの「悲劇」は、モーゲンソーの言うような「人間の愚かさ」にあるのではなく、国際社会(国際システム)の構造による、人間の意志ではコントロールできないところで引き起こされるものだ。......本書のタイトルが『大国政治の“悲劇”』である理由は、まさにここにある。(「訳者解説」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しろくまZ
8
著名な国際政治学者ジョン・ミアシャイマー教授による著作。毎日少しずつ読み、ようやく通読できた。原書だと、とても読み通せなかっただろう。翻訳者の奥山真司博士に感謝。さて、ミアシャイマーの主張はオフェンシブ・リアリズム(攻撃的現実主義)と呼ばれている。それについて第二章で説明されており、本書最大の読みどころだろう。また以後の章で、パワーについての定義や生き残りのための戦略などが述べられている。それ以外で面白かったのが、戦前の日本がなぜアメリカとの戦争に踏む切ったのかについて言及されている第六章である。2025/11/17
虎っち
6
ものすごく勉強になった。「戦争は、ダメです!」と繰り返す戦後教育は、欺瞞である。過去の国家(日本含め)は、戦争によって多大な利益を得てきた。戦争は、迅速に勝利をおさめ、最低限の犠牲・コストで勝てることもある。また、各兵器を所持する国家が絡む戦争もある。戦争について現実的に考えるきっかけとしてお勧めしたい。2025/10/09
日の光と暁の藍
6
【オフェンシヴ・リアリズムとは】カー、モーゲンソー、ウォルツらに連なるリアリストのミアシャイマーが新たに提唱する理論がオフェンシヴ・リアリズムだ。これは五つの仮説に基づくという。国家を超える権威は存在しないこと。あらゆる国家は軍事力を持つこと。国家は他国の意図を完全に知ることができないこと。国家にとっての最重要課題は生き残りであること。国家は生き残りのための戦略を計画する存在であること。リアリズムは国際関係を見る一つの視点にすぎない。しかしシビアに国際政治を見ることが祖国の生き残りに不可欠だと感じる。2024/06/02
古田更子のデジタル脳味噌ミカンジュース工場ミキサー(時給800円要相談)@批評系YouTuber
5
近現代の戦争と国際政治に関する壮大な名著。 手に取った時は分厚さにビビったが、内容は非常に理路整然としつつ知的刺激に溢れていた。 量は多いが、高校世界史(特に近現代)の知識があればスムーズに読めるので、若者に読んでほしい。
Ohe Hiroyuki
4
「Offensive Realism」を提唱して、近代国家の歩みを概説して見せる一冊。▼理論の内容は「わかりやすい」。翻訳は奥山真司氏であり、こなれた日本語になっていて「読みやすい」。▼それなりの分厚さ(672頁)だが、扱っている時代がここ250年くらいのユーラシア・北米であるから、一つ一つはコンパクトに感じる。さくさく読める(それにしても分厚いが)。▼実際に政治の舞台で常に理論的に行動がなされているわけではなく、失敗もある。ただ、長期的にみて理論をもって分析することは重要なことである。大変参考になる一冊2025/10/13
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