内容説明
今、最も注目すべき国際政治学者ミアシャイマーの主著。
原著オリジナル版に書き下ろし「日本語版に寄せて」を加え、
2014年改訂版ヴァージョンの最終章「中国は平和的に台頭できるか?」も収載。
訳者奥山真司による解説も充実。
米中の衝突を確実視し、世界各国の外交戦略を揺るがす、“攻撃的現実主義(オフェンシヴ・リアリズム)”とは!?
過去200年間の世界史的事実の検証から、きわめて明晰、冷徹、論理的に国際システムの構造を分析、北東アジアの危機と日本の運命も的確に予測する。
ミアシャイマーによる北東アジアの将来の見通しはあまり華やかなものではなく、むしろ彼自身が認めているように「悲劇的」なのだ。そしてこの「悲劇」は、モーゲンソーの言うような「人間の愚かさ」にあるのではなく、国際社会(国際システム)の構造による、人間の意志ではコントロールできないところで引き起こされるものだ。......本書のタイトルが『大国政治の“悲劇”』である理由は、まさにここにある。(「訳者解説」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
日の光と暁の藍
4
【オフェンシヴ・リアリズムとは】カー、モーゲンソー、ウォルツらに連なるリアリストのミアシャイマーが新たに提唱する理論がオフェンシヴ・リアリズムだ。これは五つの仮説に基づくという。国家を超える権威は存在しないこと。あらゆる国家は軍事力を持つこと。国家は他国の意図を完全に知ることができないこと。国家にとっての最重要課題は生き残りであること。国家は生き残りのための戦略を計画する存在であること。リアリズムは国際関係を見る一つの視点にすぎない。しかしシビアに国際政治を見ることが祖国の生き残りに不可欠だと感じる。2024/06/02
ヂェフ
4
ウクライナ侵攻でロシア寄りとも取れる発言をしたことで物議を醸したりしてるミアシャイマーの本。国際政治学本の中では段違いに具体的で面白く、さらに読みやすいので引き込まれる。自信満々な彼の語り口には説得性があり、確かに彼の言うことにも一理あるなと思う。 とはいえ、国内政治や指導者の人間性、政治体制を全く無視した分析手法には納得しがたいところがある。国際政治学に詳しい人からいきなりミアシャイマーとウォルツを読むと見方が偏るので他のリアリストの本を先に読んだほうが良いと言われたことがあるがたしかにそう思う。2022/06/20
古田更子のデジタル脳味噌ミカンジュース工場ミキサー(時給800円要相談)@批評系YouTuber
4
近現代の戦争と国際政治に関する壮大な名著。 手に取った時は分厚さにビビったが、内容は非常に理路整然としつつ知的刺激に溢れていた。 量は多いが、高校世界史(特に近現代)の知識があればスムーズに読めるので、若者に読んでほしい。
中将(予備役)
3
ウクライナ情勢悪化に合わせて読み始め、侵攻が始まった今読み終えた。攻撃的現実主義として、大国の行動原理に地域覇権の獲得を挙げ、現実の事例に当てはめて検証する。なるほどと納得する面もあるそれは、今現在にも通じる「悲劇」である。2022/02/26
TMHR ODR
1
エマニュエル・トッド『西洋の敗北』で参照されてたのをきっかけについにミアシャイマーに手を出した。高い本だがお値段以上!「オフェンシブ リアリズム」理論を過去約300年の国際関係の歴史を踏まえてその理論の堅さを論理的に証明して行く様は気持ち良くもあるが、それと同時に絶望的な気分にもなる。10年以上前に書かれた著書ではあるが、現在の米中関係をビシバシ予想しているのも凄い。国家の究極の目標は生き残りであると何度も書かれているが、日本は生き残れるのか!?2025/02/26
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