自己啓発をやめて哲学をはじめよう

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自己啓発をやめて哲学をはじめよう

  • 著者名:酒井穣
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • フォレスト出版(2019/03発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784866800271

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内容説明

■衰退する日本社会に自己啓発が罠を仕掛ける!?

人工知能の台頭、働き方の変化、少子高齢化など、
とくに若い人たちは絶望へ向かう社会の中で、
今の状況をのんびり眺めていられなくなりました。
日本が迎えている状況は、
ローマ文明、漢文明、メソポタミア文明など
高度に発達した豊かさにもかかわらず滅んでしまった文明と
よく似た道をたどっていると言えるからです。

こうした世の中にはびこるのが自己啓発ビジネスです。

かつて『三国志』の時代にもオカルトが流行し、
魏国の曹操はこれを規制した時代もありました。

■人の不安や恐れに入り込むのが、
こうした自己啓発ビジネスです。
特に二極化する貧富の差により、
自己啓発ビジネスは、貧困におびえる人の心の隙間を利用し、
自己啓発のカモにしていきます。

しかし、自己啓発にはまってしまった人が
すべて成功できるかというと、それは言うに及ばず、
むしろ家族や友人の関係を破壊しかねません。
(もちろん人生が豊かになる人もいますが、
そこには科学的根拠はありません)

そもそも自己啓発ビジネスは、
自尊心が満たされていない人をターゲットにしているため、
コミュニティーの中で、それが満たされる仕組みを作り上げます。
そうして囲い込まれた人たちは、お金を失うだけで、
儲かるのは自己啓発ビジネス側だけというのが仕組みです。

■答えをあなたの外側に求めることが哲学
自己啓発と哲学の決定的な違いは、
その答えを自分の内側に求めるか、
自分の外側に求めるかということです。

自分の内側に答えを求めるというのは、
努力すれば成功できる、自分の可能性を信じるというもので、
それを信じれば信じるほど、
薄っぺらな自己啓発ビジネスの罠にはまってしまいます。

いっぽう哲学は、自分の内側にひそんでいる可能性を
あきらめることから出発します。
言い換えれば、自分への執着を捨て去ることの必要性を
説いた学問なのです。

その姿勢は、世の中の絶望と向き合い、
外側の世界に見えるわずかな真実とともに生きることです。

■本書は、自己啓発を捨てて哲学に生きることを提唱しています。
ソクラテス、プロタゴラス、デカルト、
ヒューム、カント、サルトルら哲学者が考えてきた哲学にそって、
哲学が自己啓発を否定する流れを解説していきます。

「自分こそが正しい」という、
人間に不幸をもたらすであろう絶望から、
その興味を自分の外側に向けていく哲学にこそ、
私たちが救われる道が見いだされ、
そこに救済の可能性があるのです。

■目次
はじめに
第1章 自己啓発をあきらめる
◆現代の日本で自己啓発が流行る理由
◆自己啓発では金銭的な成功が得られない理由

コラム ご神木になにを読み取るか

第2章 神はいるのかという問題
◆生物の目の構造が教えてくれること
◆東洋思想における決定的な弱点

コラム 曹操によるオカルト規制

第3章 哲学への誘い
◆古典的な哲学のおおまかな流れ
◆人間に不幸をもたらす認識について

コラム 社会的弱者として生きることは自己責任ではない

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

36
自己啓発的な本を流し読みする度に「偉そうに上から目線で喋ってんじゃねえぞハゲ!」と怒りを覚えていたが、その怒りが生まれる原因がぼんやりと理解できた気がする。安易な自己啓発、安易な救いに逃げること、それを良しとして、「私は楽になったからみんなもこっちにきたらいい」的な考えで楽な方向へ導こうとする態度。そうした逃げの姿勢を偉そうに語る姿に虫酸が走ったんだきっと。悩み苦しめ。陳腐でシンプルな自分だけのものでいいから、吐き気がするまで思考を積み重ねろ。なるほど自己啓発と哲学との間には天と地ほどの差がある。2019/06/05

ココロココ

20
フォロワーさんのオススメで購入。昨年のコロナ休業の時に購入してしばらく放置していたが、ようやく読了。自己啓発は、自分という個別性の高い対象を扱うのに対し、哲学は自分にだけ当てはまるような個別性の高いものには見向きもせず、この世界一般に適用できる真理を対象にする。生物が少子化という状態に陥るのは、環境の収容能力が限界に達し、その成長が鈍化したときで、脱落者が極端に増えていく未来を予言するサインにほかなりません、って怖いこと書いているなぁ。他にも哲学系の本を積んでいるので、読みたい。2021/03/31

tellme0112

12
返却本のなかから見つけて借りた本。哲学に興味あるなら最初から哲学の本を手にすればよかったな…と。2020/02/25

takam

12
自己啓発は一種の麻薬である。それは宗教やイデオロギーと同じようなものに一見見えるが、私はそう思っていない。自己啓発は「信じれば救われる」という信仰性がある点では宗教とは共通であるが、再現性はないし、普遍性が存在しない。恐らく「信じれば救われる」という宗教が存在しない日本は特に自己啓発というものがどこか信仰の対象になっている気がする。また、日本人は自責かつ精神論が好きなため、そういう考えが受けるのだろう。我々が持つべき能力は、環境と個人の折り合いのつけ方だと思う。そのために哲学は非常に有用なのである。2019/04/30

11
絶望に浸っていた頃、自己啓発書が好きでよく読んでいた。でもいつしか、成果を挙げられるようになってからはそれらが陳腐なものに思え始めた。そして次に傾倒したのが哲学。より本質的に考えさせられ、単なる楽観に終わらないこれにハマった理由は「自分がより求めてたもの」だったから。自己啓発と哲学は非常に近しい存在だという。違いは、興味や好奇心が「つまらないちっぽけな自分」か「終わりのない深さと広さを兼ね備えた世界」のどちらに向いてるかだけ。今の自分ならはっきり分かる。自己啓発なんて現実から目を背けるだけの逃避だと。2019/05/21

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