内容説明
「元禄」という、江戸時代のあるひとつのピークにこだわりつづけてきた野口武彦氏が「平成」の終わりを見据えて放つ。将軍綱吉の治世後期、元禄から宝永は経済バブルの崩壊と災害が表裏の時代だった。漠然とした不安と鬱屈が世を覆うとき、人びとはいかに生きたか。美しく死ねた者、なまじ生き残ってしまった者、己が才覚の扱いに悶える者。人生のさまざまな姿が異常なまでにクッキリと浮かび上がった魔術的な時空間を描く五篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中峰和
7
元歴史学者だけに1次資料からの引用が多く知的関心をくすぐられる。「元禄不義士同盟」は吉良邸討ち入りに、確実を期すため大石の命令で補欠を用意していたという設定。補欠だから討ち入りに参加できず、喝采される四十七士に対し不義士と呼ばれ蔑まれる。切腹させられ英雄になった者の子孫は士官も可能だが、彼らには浪人の道しかない。そんな連中が徒党を組んで犯罪者集団になった。一方、吉良邸側でも討ち死にしなかった連中は不義士扱いされ世を恨むしかなかった。綱吉の知恵袋柳沢吉保の策略で不義士同士が決闘させられる。武士の意地は怖い。2019/09/14
Mc6ρ助
6
『「悪いことをするとオテントサマに叱られるぞ」と親からいわれた記憶のある人は多いと思う。(p203)』親からは言われたが、子供には言わなかった。前作で元禄時代が現代の原点と言われ、それほど違和感をいだかなかったのだが、どうも、昭和と令和の間に大きな大きな溝があるような気がする。2019/06/10
スプリント
5
元禄時代のエピソードをベースにした短篇集です。元禄といえば赤穂浪士が有名ですが、赤穂浪士の後日談も収録されています。タイトルから内容は推測できませんでしたが面白かったです。2019/04/28
がんちゃん
1
元禄時代を舞台に少し拡張高い物語の断片。男色がテーマかと1編目で思ったが、🈂️にあらず赤穂浪士討ち入りに絡む費用面の考察から荻生徂徠と豆腐の話までなかなかに興味深い。徂徠と豆腐やの話は浪曲で聞いたことがあり、その後日談的な話は少し難しいが面白い。こういうのは、やはり本で読む方が良いのでは?2019/12/11