内容説明
西丸書院番組頭を務める立原家の娘、志津乃には、決して忘れることのできない男がいた。かつての許婚の坂木蒼馬は、西丸書院番士であったが、徳川家治の嗣子、家基の死を切っ掛けに突如出奔したのだ。彼を忘れられずにいる志津乃に対し、蒼馬の友人だった男は、蒼馬が家基の暗殺を疑われていることを告げるのだった――。蒼馬が出奔した真相を知るため、志津乃は彼を捜す決意をする。意外な真相が胸を打つ、傑作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
68
なかなか面白い構成の時代小説だった。全体の柱となるのは、十代将軍家治の子で将来の将軍を嘱望されていた、家基が鷹狩の後、突如体調を崩して亡くなった。それを連作風に各章で主人公を変え、事件を語らせているという話。そうする事で事件が立体的に浮き上がってくる。その中でも中心になるのが、書院番士として家基に可愛がられていた坂木蒼馬が突然の出奔。 蒼馬の無事を祈る許嫁、志津乃は真相を探るべく行動を起こす。他の語り部から見る物語も面白い、事件の真相はどこにあるのか?時代ミステリーのような作品。2019/05/01
けやき
49
徳川11代将軍候補だった家基の突然の死。その死の真相に迫るミステリー仕立ての時代小説。家基の死はほとんど知らなかったので新鮮だった。2023/10/19
のびすけ
26
これは面白かった!将軍家治の世嗣・家基の不審死の謎を巡るミステリー仕立ての物語。家基の死を切っ掛けに姿を消した坂木蒼馬と、かつての許嫁だった志津乃を軸に、事件に関わった7人の視点から7つの章で構成されている。各章で7人それぞれの背景と、事件に関わる経緯や思惑が描かれ、少しずつ家基の不審死の謎が解き明かされていく。蒼馬と対立する高階信吾郎の視点の物語が胸を打つ。信吾郎の最期は涙なしでは読めなかった。物語の広がり、奥行き、展開、構成、どれもが素晴らしかった。これまでに読んだ梶よう子さんの作品で一番かも。2021/12/12
タツ フカガワ
20
十代将軍家治の嗣子家基が鷹狩の帰途、体の不調を訴え三日後に死去する。毒殺も噂されたこの事件で、家基の側近くに仕えていた坂木蒼馬が突如出奔する。物語は蒼馬をはじめ彼と関わりのある許嫁、剣友、盗人など七人の目を通して家基急死の真相に迫っていく。実際死の真相(厳密にいえば死因の方)には驚きましたが、全体的に物語の盛り上がりには欠けるような気がしました。2020/07/09
なつみかん
10
物語の中心に〝謎〟があってそれを追求してゆく流れが話を作っているのだけれど、ひとつひとつ解き明かしてゆくそのテンポがちょっと自分には合わなかったように感じる。2024/08/20
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