内容説明
私たちは、自分自身の身体に手を当て、撫でさすり、皮膚を手で刺激することで感覚を覚醒させ、「体」を「心」へとつなげ、さらには「頭」と「心」をつなげようと無意識のうちにしているのである。
「手当て」の原点は、人間が自然にしている、手を使って全体のつながりを回復させようとする行為にある。(本文より)
自分の体にふれ、他人とふれあうことが、心と体のバランスを取り戻し、心身を健康にするために最も有効である。
痛み、疲労、不安、抑うつ、PTSD、高血圧、孤独感……現代人の心身の不調は「手」で癒せる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミライ
33
タイトル通り、人間の手が持っている治癒力について解説した一冊。アルゼンチンの洞窟で発見された手の壁画、紀元前ギリシャの医師ヒポクラテスによる手で触れることによる治療など、まずは手で治す力の歴史について語られ、その後に手を当てる事によって心身が癒されるメカニズムや、他人に触れる事で分泌される「絆・幸せホルモン」であるオキシトシンの効能などについても解説される。今は人の肌に触れるというのが難しい時期だが、スキンシップの効能については理解できた。2020/11/25
Sakie
24
この本を買う時、書店の店主と「今回の新型コロナによって、こういった手の触れ合いはより忌避されるようになるのでは」という話をしたのだった。現状は少なくともそうだ。人が寄り集まる場所ほど急拡大し、接触を避ける日々は人間への呪いのようだ。今必要なのに。人の肌に触れることは「互いに支え-必要とされる」関係の証明であり、「自分は生きて存在している」確認と同時に「ひとりで生きているのではない」確認である。生命力の向上は自己治癒能力の発現として現れる。科学的解明も進んでいる。身近な人にはいっぱい触れようと改めて決める。2020/06/13
とみぃ
8
イヴ・K・セジウィックさんの『タッチング・フィーリング』を読むための肩慣らしとして。インターネットやSNSの浸透によって、ますます人は互いに触れあうことから遠ざかったという問題意識から、語義どおりの「手当て」「ふれあい」の効用をとく。もちろん、眼の専制、脳の独裁という文明論にまで射程は及んでいるのだろう。ただ、そうした理知的な観念論に進むのではなく、あくまで触れることのもたらす実践的な効果――「癒やし」と「絆」――について適度なスピードと反復でリラックスさせながら読者に飲み込ませてくれる。2025/08/05
ichigomonogatari
8
医療や看護また家族や夫婦の日常生活の中で、手で触る「手当て」が心や体の健康や安心にいかに大切で大きな力を持つかが改めてよく分かる。自分の手で行えるセルフマッサージの仕方が載っているのかもと思って読んだのだが、そういう本ではなかった。手や皮膚の触れ合いの重要性や影響を証明するための実験が次々と紹介されているのだが、自分は感覚的にひいてしまった。2021/07/06
夏野菜
7
大学の先生が、手当て、ふれあいといった手にまつわる言葉の有効性を科学的に説明してくれる本。オキシトシンが出るなど難しい話は理解しきれなかったが、セルフタッチで痛みが緩和する、のような実用的な話はぜひ取り入れてみたい。手の温もりは思いの外、大事だと思った。2018/11/25
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