内容説明
地政学とは地球全体を常に一つの単位と見て、その動向をリアル・タイムでつかみ、そこから現在の政策に必要な判断の材料を引き出そうとする学問である。誤解されがちだが、観念論でも宿命論でもない。本書は現代の地政学の開祖マッキンダー、ドイツ地政学を代表するハウスホーファー、そしてマハンらによるアメリカ地政学を取り上げ、その歴史と考え方を紹介する。地図と地球儀を傍らに、激動の国際関係を読み解こう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
molysk
68
地政学とは、地球全体の動向を把握して、政策判断の材料を引き出す学問である。全世界を、海洋的な地域、大陸的な地域、および両者の中間地域に分類して、これらの間の勢力争いに関する主張が、イギリス、ドイツ、アメリカといった各国の学者から論じられる。引用文献は20世紀前半頃、本書の初版は冷戦下の1984年と古く、現在でも適用できるかどうかは、内容ごとに判断が必要だろう。一方で、二度の世界大戦と冷戦で繰り返された構図の下地となる理論が、現在の欧米と中露の対立を理解するうえで役に立つこともあるのではないだろうか。2022/02/27
Miyoshi Hirotaka
34
近代の世界を動かしている重要な思想は、旧大陸で実験され、新大陸に持ち込まれ、体系的な理論としての試練を受けた。仏革命の自由、平等、博愛の人権思想は、米国憲法に結実した。海上圏の保護に関する習慣もこの例外ではない。地球儀をいろいろな角度から見ると内海と外洋に区分される。その国にとって内海に当たるところには防御を、外界にあたるところには航行の自由を主張する。わが国周辺で島嶼をめぐるせめぎ合いが続いているのはこのため。これは、海に限ったことではない。大陸では習慣的に行われ、19世紀には思想として体系化された。2018/02/17
ココロココ
31
学生時代に世界史が苦手だったこともあって、もう少し真面目に取り組んでおけば良かったと感じた。外出先で読むことが多かったので、地図を見ずに読んだが、世界地図や地球儀を見ながら読むと、より一層理解が深まると感じた。 入門といいながら、私にとっては難解であった。 似たような本をたくさん持っているので、他の本を読んで補足したい。2017/12/15
ふみあき
24
私のようなド素人には、本書はハードルが高すぎた。地政学に入門する前に、まず歴史の勉強の必要性を痛感。2021/09/25
すくすく
19
「地政学と言えば」のマッキンダーとやや日本を理想化して見ているハウスホーファーのそれぞれの理論ドイツ、日本、アメリカ、ソ連のその時代のそれぞれの思惑、考え方を例示しながら紐解いていく。第一次大戦、第二次大戦、太平洋戦争、その後の紛争などに対する諸外国の考えの背景の理解は、これからの各国の出方を予測できたり、起きている事象に対する推測をすることもできるわけで、教養としての必要性を理解した。そもそも世界史があまり頭に入っていない自分は出口治明さんの地政学入門を読んだ後で良かった。2023/10/03
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