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内容説明
世界平和を実現するために人類は古くから叡智を傾けたが、戦いは繰り返された。戦争の危機はなぜ去らないのか――この問いに答える書物は少ない。国際関係を単純に図式化・理想化することなく、また「複雑怪奇」といって正確な認識を諦めることもなく追い求めた著者が、軍縮、経済交流、国際機構などを具体的に検討しながら、国家利益やイデオロギーがからみあう現実世界を分析し、組織的に論じた国際政治の入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kei-zu
27
オビにある「名著」の語に偽りはない。本書の刊行は米ソの冷戦を背景にするものであるが、国家の存立とその相互の牽制に関する説明は今日でも古びない。本書の説得力は、著者の確かな分析と揺るぎない希望の提示にある。著者が存命であれば、現在のロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃をどのように分析したであろうか。2024/03/21
樋口佳之
27
66年初版。電子本底本は2012年6月20日 第49版。/ つぎにどこへ足をかけるべきかを知らずに、けっして動いてはならない。またその一歩を完全に進めうるにたる十分な安定感なしには、けっして動いてはならない。本気で頂上をきわめようと決心している者は、おぼつかない足場や頼りない手がかりに焦ってとびつくような賭けはやらない。前国連事務総長 ダグ・ハマーショルド/例えば現在進められている核兵器禁止条約を著者ならどう評するか聞いてみたいと感じる内容でした。2019/01/25
TS10
24
日本における現実主義の古典。哲学と歴史への深い理解を基にして語られる洞察には蒙を啓かれる思いがした。国家は力の体系であるだけでなく価値のそれでもある以上、力を一元的に集めることによって平和に達しようとする試みは、ある価値観の強圧的な押し付けか或いは無秩序を招くだけであると著者は言う。異なる力、利益、及び価値の体系を持つ諸国家がひしめき合う国際政治において、永久平和への確実な方法は存在し得ない。それでも、国家間の力の対立を凍結しつつ、規範に沿って国際環境を構築していくことで、そこに近づいていくことは出来る。2024/05/23
金吾
20
○私にとっては国際関係に関する原点的な役割を持っている一冊です。50年以上前の本ですが、1章や終章は全く色褪せていないと感じます。2022/07/17
syuu0822
14
1966年出版。当時の国際政治状況について、平和、軍備、国連の存在意義など、現実的な論考を重ねています。内容は現代の国際社会にも十分に当てはまるかとは思いますが、サイバー空間上の戦争や思想の戦争など、さらに複雑化の一途を辿っているなとも思わされました。 あとどうでもいいですが、本書を執筆したのは精々30歳過ぎ(巻末のプロフィールから計算)くらいということに驚きですね…。現代の同年代の中でこれだけの文章を書ける日本人っているのでしょうか…?2023/03/06