内容説明
辞書編集とは“刑罰”である──
辞書編集ひと筋37年、『日本国語大辞典』の元編集長による苦難と歓喜の回想録。
日本語のうんちくも満載。
出版社に入りさえすれば、いつかは文芸編集者になれるはず……
そんな想いで飛び込んだ会社は、日本屈指の辞書の専門家集団だった──。
悪戦苦闘しつつも徐々にことばの世界にのめり込み、気づけば三十七年もの間、辞書を編み続けた著者。
「辞書編集者なのに明るい?」
「辞書と闇社会の深い関係」
「『とにかく』と『ともかく』はどう違うか」など、興味深い辞書と日本語話が満載。
日本でも希少な辞書専門の編集者によるエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
42
積ん読本の一冊。世界最大の日本語辞書『日本国語大辞典』元編集長による、辞書編集半生の記。辞書編集のいろはから、長年の編集者人生で味わった「言葉」についてのエピソードが満載。その一つ一つが、言葉・人・本を巡り具体的で興味深い内容になっている。著者の記憶力の凄さに舌を巻く思いであったが、若い頃から詳細な日記を付けられていた由。「刑罰」と称せられることもある辞書編集の苦労話や、言葉を仲立ちにした著者と多くの執筆者の関わり、小学生の「辞書引き学習」の話等々を読み、普段お世話になっている辞書を改めて見直した次第。2021/05/16
naotan
16
肩の力を抜いて読める、辞書編集にまつわるエッセイ集。辞書引き学習に1万枚の付箋を付けた小学生のその後が気になります。 辞書は新聞とともに家庭から消えて行く存在なのかと思いきや、辞書引きの楽しさに目覚める人が増えると良いな、と思った。2019/02/22
チェアー
11
自分は辞書編集者は向いてないと悩みながら仕事に向き合い、気がつくと言葉と辞書に夢中になっていた人の話。辞書は無味乾燥なものではなくて、読んで楽しむものだ。そして、なんといっても言葉の面白さがすべてだ。言葉は人も歴史も物語もすべてを包み込んで生きている。その生きた姿をどうやって捕獲して見せるかが辞書の見せ所だ。2019/02/05
keisuke
3
図書館。2023/02/01
nota
2
2018年12月10日第1刷 本書の帯には「辞書編集とは“刑罰”である」とある。 その意味するところは単調でつらい仕事だから、かつて刑罰として存在した「らしい」ということである(P36)。 しかし、地味な作業ではあっても、そのことばの由来を過去の著作から、あるいは現代にも残る方言から集めていく「作業」にはとんでもない知力が必要とされ、しかも「これで正解」ということもない。 「刑罰」というのは自虐のユーモアであって「知の」が前につくのだろう。 2024/06/03