内容説明
なぜ、35歳の富裕な株式仲買人ポール・ゴーギャンが、突然、その職を投げ打って、画家をめざしたのか? 「野蛮人」たらんとした文明人、傲岸と繊細、多くの矛盾、多くの謎をはらんで、「悲劇」へと展開するゴーギャンの「世界」。著者の詩魂が、ゴーギャンの魂の孤独、純粋な情熱、内なる真実と交響する。文献を博渉し、若き日の「出遇」から深い愛情で育んだ、第一級の評伝文学。毎日出版文化賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
16
もともと絵も大好きで、特にゴーギャンは大好きな作家で「月と6ペンス」や「ノアノア」を読んだりしていましたが、福永さんのこの本は丸ごと1冊ゴーギャン特集で何度読んでもいいので夏の暑い盛りにピッタリの絵なので読みなおしました。非常に読みでがあり最後のほうにはカラー版の絵までがついていて装幀や箱の様子もいいので読んでいていとしくなる本です。2014/08/18
ソングライン
2
ゴーギャンの遍歴だけでなく、彼の残した作品の評価、彼の憧れた原始生活と作品の関わりが、詳しく述べられたゴーギャン芸術の評論です。モームが月と6ペンスのなかで描いた芸術のためには家族をもたやすく犠牲にするゴーギャンとは異なる野蛮人になりきれず苦悩する文明人である彼の姿が描かれています。2015/12/04
OKA
2
絵を描く事は自分には相当縁遠い事もあって、表現を志す画家が生涯を通じて自分の表現を模索追及する姿に正直驚いた。著者の福永武彦の芸術家の肩を持つ感情移入もあったと思うけど。作品についてはあまり良く知らないのでネットで絵を調べつつ読み進めた。ちなみに「ひとり(オタヒ)」と「三人のタヒチ人」という絵が好きだなと思った。意志の力で人生を切り拓くか。。耳が痛い。2015/05/25
浮舟りつ
1
ゴーギャンの自分本位な性格、ロリコン趣味。それを擁護する反面、ゴーギャンを批判した妻への反論をする著者。対象への愛情は書き手にとって不可欠だけど、これはどう見ても肩入れしすぎ。ゴーギャンの作品や後世に与える影響に興味あったのに、この本のせいでゴーギャンが嫌いになってしまった。 2019/01/20
masawo
1
お陰ですっかりゴーギャンにハマってしまうくらいイカした本だった2016/10/18