集英社オレンジ文庫<br> ナヅルとハルヒヤ 花は煙る、鳥は鳴かない

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集英社オレンジ文庫
ナヅルとハルヒヤ 花は煙る、鳥は鳴かない

  • ISBN:9784086802338

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内容説明

毒がなければ生きていけないと言った「先生」についていったナヅル。彼はなぜ、いま帰ってきたのか――。生まれ育ったマキヨノで、仕事も、愛する女性も得たハルヒヤ。懐かしい友人、ナヅルとの再会を喜んだものの、彼が「花煙師」になったと知る。ナヅルがいない間に、マキヨノでは花煙師の出入り禁止が決まったのだ。複雑な思いでナヅルと接するハルヒヤだったが…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

★Masako★

79
★★★★ ノベル大賞佳作受賞作。読了後、ため息がこぼれた。作品の世界観にどっぷり浸かり夢中になって読んだ。ナヅルとハルヒヤ。マキヨノ領苑で小さい頃友達だった二人。十年前に突然領苑を去ったナヅルが「花煙師」となって帰ってきた。陽の光のように明るく真っ直ぐなハルヒヤ。心に傷を抱え日陰で生きるナヅル。間もなく苑主は花煙師の出入り禁止を決め、ナヅルを排除しようとするが…全体に漂う花煙草の色付いた煙と香り。日陰で生きる者たちの深い哀しみに胸が苦しくなる。柔らかで美しい文章がまたいい。切なく哀しいラストには涙…。2019/02/28

おかだ

48
とても好きな世界観。マキヨノ領苑で衛兵として健全に暮らすハルヒヤの元に、幼馴染のナヅルが帰ってくる。ナヅルは花煙師となっていたが、マキヨノでは花煙草が禁止される事になり…。お互いを慕いながら、相容れない思想を持つ2人の関係が、悲しい。正義の声が大きい。その正義に押しつぶされる、真っ当に生きることが難しい人々の心は救われることがないのか。私は、清く正しいハルヒヤよりも、儚く退廃的にしか生きられないナヅルに肩入れしてしまう。弱者に寄り添う道だって、あるべきなんだよ…。現代の嫌煙の大きな声に思いを馳せつつ読了。2019/06/24

はるき

30
 凄く好き。耽美系のイメージをいい意味で裏切ってくれました。どうしようもない何かに翻弄されて生きる理不尽への憤りを、美しく描いています。2019/02/20

よっち

29
花煙師について街を出たナヅル。不在中に花煙師の出入りを禁止することが決まったマキヨノで、仕事も愛する女性も得て安定した生活を送るハルヒヤが花煙師になっていたナヅルが十年ぶりに再会する幻想抒情譚。少女・ヤヒナとともに街に戻ってきたナヅルの目的。恋人のアヤリとともに二人を世話しようとするハルヒヤ。お互い大切なのに言葉足らずで、なかなか上手く伝わらずすれ違う想いがもどかしかったですが、それぞれに譲れない生き方があって、複雑に絡んだ因縁に決着をつけるべく苑主の元に向かうナヅルのありようがとても印象的な物語でした。2019/01/31

にゃうぴょん

12
花煙草の煙と共に滅んでいくような儚く美しい物語でした。2019/06/21

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