講談社学術文庫<br> 技術とは何だろうか 三つの講演

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講談社学術文庫
技術とは何だろうか 三つの講演

  • ISBN:9784065150108

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内容説明

20世紀最大の哲学者マルティン・ハイデガーが第二次大戦後に行った「技術」をめぐる三つの講演。瓶(かめ)や橋、家屋といった身近な物から出発し、それらの物がどのようなあり方をしているのかを考え、ついには「世界」に到達する講演「物」と「建てること、住むこと、考えること」、そしてモノとヒトを資源として用いながら膨張を続ける現代技術のシステムを問う「技術とは何だろうか」。第一級の研究者による決定版新訳!

目次

編訳者まえおき

建てること、住むこと、考えること
技術とは何だろうか
編訳者あとがき
索 引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

33
物が物の本質として顕現し、四方界のうち死すべき者である人間が物の本質を労わって物との関係を結ぶと、世界と人間の距離は接近することになる。人間と場所との関わりと場所を介した空間との関わりは、住むことによってなされ、建物という物によってなされる。技術とは物の本質を顕現させるあり方の一つである。しかし現代の技術は挑発することによって無理やり顕現させられる「総かり立て体制」ともいうべき性格を持っている。物が対象としてではなく徴用物資としてのみ人間と係わり、人間は自由な本質を放棄する危機に直面している。2020/10/20

ハイポ

14
■『物』『建てること、住むこと、考えること』■構成要素を分解し、共通の要素を抽出する科学的方法のみでは物の本質は隠される。物の本質は、それ自体が相互作用する複数の要素(四方界)を宿らせながら、その要素との関係性のうちで現れる。雑理解だと、要素分解ではなく諸物の関係可能性の広がりのなかに物の本質が現れうるということ。■近さの喪失や住宅難(どちらも人間含む事物が本質的に存在できないこと)に対してどうするか。人間の存在仕方が鍵。暴く思考ではなく、思いを馳せて労うような思考に歩み戻る。2022/09/14

閑居

14
ひとまず「技術とは何だろうか(Die Frage nach der Technik)」だけ読了。ハイデガーの主張を要約するとこうだ。技術は材料、意匠、用途及び職人を組み合わせて物を作るというあり方である。人は運命に駆り立てられるように、現代技術を使って自然からエネルギーや材料を搾取する。このとき、技術は定量的手法や論理的思考法を人に与えて、人を不遜で神をも畏れぬようにし、真理から遠ざけた。しかし同時に、その真理そのものに到達する力を人に与えた。その意味で技術は両義的で、危機と希望を人に与えうるのだ。2019/07/21

Ex libris 毒餃子

6
物についての論考は難しいが、その他はハイデガーの入門書をさらっていればわかりやすい。アレントの『活動的生』の製作の要素の理解に助かる。2019/04/27

しゅうこう

5
ハイデガーはこんな講演を行っていたのか。本質とは少し関係ないかもだが、技術者の端くれとして感じるのは、現代では様々なことについて「それは何のためか」とか「本当に必要なのか」といったことが分からないまま、単に効率性や合理性のみを重視し、それらをあたかも価値としてみなして、真の意味での「価値」を見失いつつあるのではないか。これは自分の中ではハイデガーの言う「総駆り立て体制」に他ならないのではないかと思った。ある意味ニヒリズムに陥りつつある現代では、まず自覚し、その状況下でどう生きるかを再考する必要がありそう。2021/12/03

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