内容説明
この日本社会で実際に選択できる「生き方」の間には,収入やジェンダー,年齢によって著しい不平等がある.子ども,若者,勤労者,高齢者というライフステージごとに,そうした不平等の実態とその原因について,数々のデータを用いて考える.そして,そこから脱却する道を「お互いさまの社会」の創造に見出してゆく.
目次
目 次
序 章 不平等を語る
不平等を語ること/選択の中の格差/未熟な政治と格差論/政権交代と見えない先行き/不平等と格差、そして貧困/個人と社会/個人の生き方と不平等
第一章 ゆりかごが決める人の一生──子どもたちの不平等
だれが子どもの福利を保障するのか/日本における子どもの貧困/子どものいる世帯と貧困/親を選べないということ/子どもの幸せは親の幸せ/わが子と他人の子/母子家庭に高い貧困率/教育機会の不平等と「家庭力」/始まりの時点の格差と教育/いまの社会に必要とされる子育て支援
第二章 たまたまの勝ち組、たまたまの負け組──若者たちの格差
人生途中の迷いのとき/不安定化する雇用市場/非正規雇用者とは/階層化する男性労働市場/若者たちの格差への注目/未婚の成人はだれと住んでいる?/成人未婚者の一人暮らし/結婚できるかは経済的な問題?/晩婚化の中の若年カップル/みなが親にパラサイトしているわけではない/年老いた親と同居する成人未婚者たち/親と息子・娘の関係/選択することの大変さ/寛容な社会をめざして
第三章 稼ぐ人・世話する人の分かれ道──女の働き方・男の働き方
女であること、男であること/女の働き方/分断された労働市場/職業の評価とジェンダー/管理職の女性/家計補助としての女性就労/少子化対策から見た女性就労/日本政府の少子化対策/ 「新たな少子化対策」の古さ/ 「少子化対策」から「子ども・子育て支援」へ/男の甲斐性/高学歴の女たち/高給の共働き、貧困ゆえの共働き/ジェンダーフリーの混同/男女ともに働き、生活する社会に向けて
第四章 蓄積された不条理──高齢者たちの格差
高齢であることとは/不平等が蓄積される高齢期/人口高齢化と所得格差の拡大/働く高齢者たち/格差の測り方/高齢者のいる世帯と格差/高齢者が生活する場の変化/高齢層の経済格差の変化/高齢者の一人暮らし/高齢社会の中の家族/三世代世帯にいる高齢者/これまでの生き方の反映/見えにくい格差としての地域差/世代を超えた社会連帯を求めて
終 章 お互いさまの社会に向けて
生き方の不平等/他者感覚と当事者/社会的想像力のすすめ/ 「たまたま」のチャンスと自己責任/見えないことに敏感になる/お互いさまの社会をめざして/お互いさまの関係をどう築くか──三つの提言
あとがき
参考文献
感想・レビュー
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おさむ
大島ちかり
無識者
喪中の雨巫女。
sk