内容説明
各メディアで引っ張りだこの磯田道史氏と、万葉集研究の大家にして文化勲章受章の中西進氏。
地震、噴火、津波、人災、その極みである戦争。過去の歴史を振り返りながら、万葉集に遺されたメッセージから、先人たちの知恵から、現代日本人とその目指す場所を縦横無尽に語りつくす!
目次
第1章 天災と人災の中で
第2章 愛と死に生きる万葉びと
第3章 人生観の歴史
第4章 経済に学ぶ日本人の生き方
第5章 人間たらしめるもの~「知性」と「理性」と「悟性」~
第6章 万葉集は乱世によみがえる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
112
日本に住む私たちは、「災間」に生きていると言う認識が、どれだけあるか。過去の災害の教訓を活かすには、しっかりとした自覚がないと意味がないと実感しました。専門家2人の対談集ですが、読みやすいです。注釈はそのページの後ろに記載されているので便利です。(読者目線で編集してるなと思いました)改めて日本がいかに災害が起こりやすいか、よくわかりました。2024/01/17
佐島楓
58
万葉集などの古典や歴史から日本人の原点を見つめなおすという視点はいいのだけれど、話題が多岐にわたっており、把握しづらかった。私自身の勉強不足によるところも大きいと思う。2019/03/23
aika
46
濁りのない真っ直ぐな眼で万葉集と歴史を見つめ、未来を見据えるおふたりの奥深い対談に、感動すら覚えます。万葉集、そして鎌倉や江戸時代の武士と庶民の話などを基に、ひとびとが戦争や災害など身に起こる試練を、いかにしてたくましく乗り越えてきたのか、初めて知ることばかりで興味深く読めました。かつて二度の混迷期に万葉集が多くの人びとに読まれ、その後大きく文明が開いたことから、有名無名問わず、様々な立場の人びとが詠んだ歌が滲ませる万葉集の人間味と言葉の普遍性が、私たちの生きる時代を令しく照らしてくれるように思いました。2019/06/23
Book & Travel
46
お馴染みの磯田先生と「令和」の考案者と言われる中西先生の対談。平成の時代は災害が多かった印象もあるが、日本人は昔から多くの災害に直面してきた。古代の人が残してきた言葉に耳を傾けることは、減災にも繋がっていく。話題は災害だけでなく、日本人の人生観、死生観を中心に様々に広がっていく。もう少し話題がまとまっていてもと思うが、さすがに深くて興味深い話が多い。中でも「詩心と哲学が国を強くする」という言葉が、先日読んだ「西行花伝」に出てきた「歌による政治」という言葉に通じていて、特に心に響くものがあった。2019/04/28
壱萬参仟縁
36
N:魂が隠れてはいるが現力があることを、日本人は「恩」と(34頁)。外来語受容の三つの仕方。civilization(生活文明化)、recognization(外来語で再認識した言語)、nativization(外来語母語化)(68頁)。平安の人々は「死に続ける」生命観をもっていたのかもしれない(89頁)。I:ウソの概念、偽りや空言は、万葉の時代から厳然としてあった(102頁)。N:山は『夢の城』で「田舎をなくして都にしなければいけない」と書いている。疲弊農村を救うため、都市型経済を普及させる考え方が、2021/06/02