ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 地下道の少女

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ハヤカワ・ミステリ文庫
地下道の少女

  • ISBN:9784151821585

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内容説明

冬の朝、43人の子供が市内に突然現れた。ほぼ同時に、病院の地下で女性の死体が発見される。〈ガラスの鍵〉賞受賞シリーズ最新刊

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

107
突然に他の国でバスから捨てられる子供たち。暮らしから逃げ出して地下に逃げ込む少女たち。まだ15歳くらいなのに、どちらも男の気をひく年齢になると、酷い目に合わせられ、正気ではいられなくなる。しかし、生きていく手段がそれしかないことが哀しい。「でも、べつにいいんだ。新しいのがくるから」と言う少女と、裏返した箱に布をかけてクロスにして花瓶を置く女たち。こんな女性たちへの作者二人の視線には、それでも愛おしさが溢れている。2019/06/06

のぶ

104
非常に陰惨な物語だったが、ミステリーとして読むにはとても面白い作品だった。ストックホルムで、バスに乗せられた外国人の子ども43人が、警察本部の近くで置き去りにされる事件が発生した。また、病院の地下通路では傷つけられた女性の死体が発見された。主人公のグレーンスら警察はそれらの関連を求め捜査を開始するが・・。今まで読んできた北欧ミステリーにも陰惨なものは多かったが、思いもよらない酷い実態が明かされていた。地下道で暮らす人たち。多くのストリートチルドレン。これらがスウェーデンの実態なのか目を疑いたくなった。2019/03/03

ずっきん

84
ストックホルムに置き去りにされた43人の子供達と、顔を激しく損傷した女性の遺体。福祉国家の闇へと、そりゃもうぐいぐいと。この先の三シリーズを既読だからかもしれないけれど、シリーズ4作目にしてグレーンスのキャラがバーンと立つ。ここからあのグレーンスが動き出すんだなあとしみじみ。この前半を踏まえて(ボックス21は除く!まだ怒ってる!)三秒間を読み返そう。きっと違う景色が見えるはず。そして三日間のグレーンスに胸を踊らせよう。2022/07/08

キムチ

68
終わりまで、薄明すら射さない情景だった。43人を乗せたバスの状況が解ってから地下道を蠢く場面が続く、その先は大病院。レオ❓ミッレル❓リズって・・正体は煤の中でちらっとしか見えないから頁をめくる手が止まらない。「社会福祉に関わる部局の上層は『スェーデンにはストリートチルドレンは存在しない』と主張する・・辺りから太い一本の筋が見えてくる。刑制裁時の男女差は子供にも表れ、女は自分の殻に閉じこもるか消えるしかなく、奈落の底に落ちて行く~欧州各地で多発する事態を虚構でなく重い告発の形で綴った1冊。2019/04/08

巨峰

64
社会からスポイルされて地下通路で生活する人たち。そこには少年少女も。子供を連れた少女の扱いをとっても、北欧高福祉社会って意外に人に冷たいと思いました。母娘とも保護するのが普通でしょう。人に対する見切りが冷静。勢をのぞいたら冷たいとしか言えない。これまでのこのシリーズの作品に比べたら推理ものとしてはインパクトが薄いけど、社会派小説としてはなかなか。最愛の人を失った主人公の今後が心配です。2021/05/05

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